動脈硬化の発症や進展には血管内皮細胞の障害と単球の内皮への接着、内皮下への遊走が大きくかかわっている。大分医科大学第二内科の渡邉充氏らは、高血圧患者の単球表面に発現する接着分子を、降圧効果とは独立したバルサルタンの抗動脈硬化作用によって有意に減少させることを示した。

 対象は未治療高血圧患者12例(男性7、女性5、平均年齢60±9.9歳)で、試験開始前およびバルサルタン(80mg/日)投与4週後、16週後に血圧測定と空腹時採血を行った。接着分子は、フローサイトメトリーにて末梢血単球上のCD11b、CD18(血管内皮上のICAM-1、VCAM-1のカウンター受容体)、CD54(ICAM-1)、CD62L(L-selectin)を測定し、蛍光染色の平均濃度にて評価した。

 その結果、バルサルタンの16週間の投与により、収縮期血圧は173±19mmHgから144±11mmHgに、拡張期血圧は103±17mmHgから89±11mmHgに有意に低下した(p<0.05)。また、単球上のCD11b、CD18、CD54、CD62Lはバルサルタン投与16週後にそれぞれ600±334から274±111(p=0.024)、596±309から328±131(p=0.036)、188±41から137±28(p=0.039)、204±71から149±71(p=0.003)へと有意に低下した。しかし、血圧の低下率と接着分子の低下率には有意な相関は認められなかった。

 以上の結果より、渡邉氏は、バルサルタンは未治療高血圧患者における末梢血単球表面上の接着分子を有意に低下させるが、この作用はバルサルタンの降圧効果によるものではなく、独立した抗動脈硬化作用と推察することができると述べた。