レニン・アンジオテンシンシステム(RAS)は動脈硬化の成因や血管再狭窄において主要な役割を果たすことが知られている。しかし、RASの阻害が常に血管再狭窄を抑制するとは限らない。今回、東京大学循環器内科の高橋政夫氏らは、アンジオテンシンII(AII)および、TNF-αを同時に阻害することで血管の炎症反応が相乗的に抑制されることを実験的に確認した。

 高橋氏らは、まず、Wistarラットの血管平滑筋細胞を用い、TNF-αまたはAIIの投与によるMCP-1の発現、ROS(活性酸素種)の産成を検討したところ、AIIまたはTNF-α投与によりMCP-1発現、ROS産生は有意に増強し、両者の併用によって相乗的となることを確認した。この相乗作用はレセプターレベルでは増強しないことから、その上流で相乗作用を発揮していると推察している。

 また、AIIおよびTNF-αによるROSの誘導、MCP-1発現の増強はROS阻害剤により抑制された。

 さらに、ラットwire injury modelにおける新生内膜形成、マクロファージ浸潤、MCP-1の発現はバルサルタンとTNF-αを阻害するアデノウイルス(AdTNFRΔC)の投与によって有意に抑制され、併用によって相乗的な抑制効果が得られている。

 以上の結果より、高橋氏は、RASとTNF-αは相乗的に作用することで、ROSの誘導、MCP-1の過剰発現、さらにはマクロファージの浸潤といった血管の炎症反応を惹起していると推察している。