禁煙指導する場合には薬物代謝酵素チトクロムP450の一種で、ニコチンをコチニンに代謝する主要酵素であるCYP2A6の遺伝子型を判別して禁煙計画を立てることができる可能性が大阪大学大学院薬学研究科臨床薬効解析学教授の東純一氏らのグループの研究によって指摘された。CYP2A6の活性によって喫煙行動が変わることが示されたもので、成果は3月25日に名古屋市で開催された日本循環器学会の一般口述(日本語)26「Smoking-1」で同グループの久保田智子氏(写真)によって発表された。

 研究グループは喫煙者107人を対象にCYP2A6の遺伝子多型*1、*4、*9のうちどのパターンを所有しているか調べ、同時に喫煙行動をインタビューした。CYP2A6の遺伝子多型は、*1が正常型、*4が欠失型、*9が活性低下型となる。*1をホモあるいはヘテロで持つ割合は8割程度になるという。1日に吸うタバコの本数と1日あたりのニコチン摂取量とCYP2A6の遺伝子多型に一致する傾向があることはすでに報告されている。

 研究の結果、CYP2A6の本来の活性の50%以上を持つ活性が高い遺伝子多型(*1/*1、*1/*9、*1/*4、*9/*9)の群(n=95)は、CYP2A6の活性が50%未満の低い遺伝子多型(*4/*9、*4/*4)の群(n=12)と比べて、朝起きて最初にタバコを吸う時間が5分以内の率が高いことが明らかとなった。活性が高い遺伝子多型では約35%で、活性が低い遺伝子多型では10%未満だった。さらに禁煙を行った際に起こるニコチン禁断症状もCYP2A6の活性が高い遺伝子多型の群の方が重篤であることも明らかとなった。

 研究グループの大阪国税局診療所の谷口智子氏は、「*1を持つ群は最初から一番大きいサイズの禁煙パッチを使うことや子供への影響を説明するのに利用できる」と語った。また*4のホモ型の3例では、自分がタバコに合わない体質であることを理解し、全例が禁煙に成功したことも明らかにした。