鹿児島大学循環器呼吸器代謝内科学教授の鄭忠和氏らの研究グループは、60度の遠赤外線サウナ温熱療法を繰り返すことで慢性心不全患者の亢進した交感神経活性を低減できることを見出した。研究グループは60度の遠赤外線サウナ温熱療法が慢性心不全患者の心血管内皮の機能を改善することを既に報告しているが、そのメカニズムが明らかになったことになる。また、温熱療法は交感神経活性を低減するだけでなく、グレリンの分泌を促進することでも心不全の改善に寄与していると考えている。成果は3月25日に名古屋市で開催された日本循環器学会総会のOral Presentation(English)28「Heart failure,clinical-1」で研究グループの池田義之氏(写真)が発表した。

 研究グループの温熱療法は、1日1回60度の遠赤外線サウナの中に置いたベッドに15分横たわったあと、通常のベッドで毛布をかけてさらに30分間横たわるというもの。患者の体温は37度程度に維持される。この温熱療法を週に5日、2週間行い効果を調べた。30人の慢性心不全患者のうち20人に温熱療法を行い、残り10人は対照群として、サウナに要する時間の間、24度に設定された部屋のベッドに横たわってもらった。

 その結果、2週間の温熱療法を受けた群では心胸郭比、血漿中脳型ナトリウム利尿ペプチド濃度、左心室駆出分画率(LVEF)の改善が見られた。さらに、交換神経の活性をノルエピネフリンのレベルと心拍間隔変動係数(SDNN)で調べたところ、ノルエピネフリンレベルは減少し、SDNNは増加し、交感神経活性の亢進が低減できた。対照群では有意な変化はなかった。

 なお温熱療法をミストサウナや高温の入浴で行おうとすると温度刺激がストレスになってしまい、有効ではないという。