無症状の肥大型心筋症、高血圧性心肥大では冠動脈病変は存在しないが、しばしば心筋微小循環が障害されていることが知られている。このたび、奈良県立医科大学総合医療病態検査学の藤本眞一氏らは、バルサルタンによる肥大型心筋症患者の心筋微小循環改善効果は、心内膜下拡張能を事前に評価することによって推測できることを報告した。
 
 対象は、肥大型心筋症患者21例で、全例にバルサルタン40mg/日を12週間投与した。治療開始前後の心筋灌流(心筋血流量)は心筋コントラストエコーにて、心内膜下拡張能はstrain rate imaging(拡張期peak strain rate:SR-diaおよび拡張期差室弛緩遅延:T-dia)にて評価した。20例のボランティアをコントロール群として比較した。

 結果は、治療前の心筋血流およびSR-diaはコントロール群に比して有意に減少、T-diaは有意に上昇していた(p<0.05)。バルサルタン治療12週後、心筋血流がコントロール群のレベルまで上昇したものは12例だった。この改善した12例と改善しなかった9例におけるベースラインの特徴を検討した結果、改善しなかった9例でのT-diaは有意に高値を、SR-diaは有意に低値を示していた。つまり、心内膜下拡張機能が維持されている群で、バルサルタンによる心筋微小循環の改善効果が認められたと考えることができる。

 以上の結果より、藤本氏は、肥大型心筋症患者におけるARBの心筋血流改善効果は投与前に心内膜下拡張機能の評価することで、推測することができるのではないかとした。