動脈の硬さの指標となる大動脈脈波速度(aPWV)が、心血管死の予測因子となる可能性が報告された。広島市医師会臨床検査センター内科の井上典子氏らが3月24日、セッション「Atherosclerosis, clinical-6」で発表した。

 研究グループは、大動脈脈波速度と心血管死との関係を明らかにする目的で、50〜69歳までの一般男性3996人(平均年齢61.0±5.5歳)を対象に、1988年から2004年まで追跡調査した(平均追跡期間は8.7年、2〜15年)。

 分析では、対象者をaPWV値に基づいて4グループに分け比較検討した。4分位分析で分類したところ、Q1が5.5〜7.4m/s(924人)、Q2が7.5〜8.1m/s(1035人)、Q3が8.2〜8.9m/s(958人)、Q4が9.0〜14.7m/s(1079人)となった。また死因については、死亡証明書に基づいて判断し、病歴による裏付けもとった。

 調査の結果、435例の死亡が確認され、そのうち心血管死は114例だった。

 各グループごとの総死亡率は、Q1で10.5/1000人年、Q2で11.0、Q3で15.3、Q4で21.3と、Q4グループがもっとも高く、Q1に比べて有意に高かった(p<0.05)。また心血管疾患による死亡率の方は、Q1で1.84/1000人年、Q2で2.31、Q3で3.86、Q4で5.83と、こちらもQ4グループがQ1に比べて有意に高かった(p<0.05)。

 Kaplan-Meierの生存率曲線を求めると、aPWV値が高いグループほど生存率が悪いことが明らかだった。

 また、コックス比例ハザードモデルによる分析では、aPWV値が高いグループほど、総死亡リスクも心血管死リスクも、ともに高いことが分かった。総死亡では、Q1に対する相対リスクはQ2が1.06、Q3が1.22(p<0.01)、Q4が1.31(p<0.0001)だった。一方の心血管死では、Q1に対する相対リスクはQ2が1.26、Q3が1.45(p<0.05)、Q4が1.51(p<0.0001) だった。特にQ4における差は、年齢や血圧、BMIのほか心血管疾患に関連するほかの因子で調整した後でも、有意のままだった。

 これらの結果から研究グループは、「日本人の一般的な集団において、大動脈脈波速度は、心血管死の予測因子となりうる」と結論づけた。