「関節リウマチ(RA)の『目標を定めた治療方針(T2T:Treat to Target)』は、早期RA患者を想定したものになっていて、外科的治療やリハビリテーションの視点に欠ける面がある」。4月18日から20日に京都で開催された第57回日本リウマチ学会(JCR2013)のシンポジウム「RAの集学的アプローチ」の中で、RAの手術療法の位置付けについて論じた岡山大学人体構成学の西田圭一郎氏はこう指摘した。

 西田氏らの施設では、2004年以降、RA患者の総手術件数は年110件前後と変わらないが、大関節の人工関節置換術は減少傾向で、2004年の60件から2012年の33件まで、ほぼ半減した。その一方で、手足の小関節の手術件数は同期間に50件前後から80件近くへと増え、特に手指関節の人工関節置換術の施行数はほぼ倍増した。

 最近2年間に手術を行ったRA患者147例の背景を調べたところ、生物学的製剤の使用例では手術時の年齢が有意に若く、罹病期間も短かった。特に上肢手術では、生物学的製剤使用例の方が非使用例に比べて疾患活動性が有意に低く、患者全般評価スコアが良好だった。生物学的製剤の使用例では、総合的な病勢がコントロールされた状態で手術を受けている患者が多いことが分かる。

 また、生物学的製剤使用の有無にかかわらず、手術によって疾患活動性は有意に低下。機能障害についても、生物学的製剤使用群では手術後に有意に改善した。

 西田氏は、生物学的製剤を使用しても、手足の小関節で痛みや機能障害が改善されなかった場合に固定術や人工関節置換術を行い、術後も生物学的製剤を継続することで、痛みや機能障害が改善し得た症例を提示した。

 「現在は、関節機能障害ゼロを目指す治療の時代」だと西田氏は言う。早期RA患者では、早期診断、早期介入、Treat to Target、疾患活動性を厳格に管理するタイトコントロール戦略などが有効とされる。その一方で、罹病期間が長く、関節破壊が既に進行したRA患者では、治療目標は低疾患活動性となり、既に存在する不可逆的な身体機能障害や、低疾患活動性を達成しても破壊が進行する関節が手術の適応となる。また、早期RAでも2次無効例や不耐例では手術も含めた治療戦略が必要となる。

 西田氏はこうした議論をまとめ、生物学的製剤が普及した現在における手術療法の新たな適応として、(1)不応や2次無効、副作用などで生物学的製剤を中止せざるを得ない場合、(2)経済的理由や合併症で生物学的製剤を使えない場合、(3)休薬や薬剤変更の間に関節破壊が進行する場合、(4)全身的には効果があっても一部の関節で炎症や関節破壊が進行する場合、(5)既に不可逆的な関節破壊や変形が進行している場合、などを挙げた。

 そして、「RAの寛解・低疾患活動性の導入・維持を達成するためには、治療体系に適宜、手術療法やリハビリテーションを組み入れ、集学的治療を行っていくべきだ」と述べ、講演を締め括った。