B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアの関節リウマチ(RA)患者に対し、ウイルス量が一定以下であれば、エンテカビルの併用により、安全に生物学的製剤を投与できる可能性が少数例の評価をもとに報告された。大阪市立大学整形外科の多田昌弘氏らが4月18日から20日に京都で開催された第57回日本リウマチ学会(JCR2013)で発表した。

 HBVキャリアでは、免疫抑制を伴う治療によってHBV再活性化が起こり、時に劇症肝炎を発症することが知られている。多田氏らは、日本肝臓学会の「免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策」ガイドラインに則り、肝臓内科医の協力のもとに、HBVキャリアのRA患者に対して生物学的製剤の治療を実施した。

 対象はHBs抗原陽性のRA患者6例(うち女性4例)。年齢は54.7歳、罹病期間は10.9年、ベースラインのDAS28-ESRは5.51だった。スクリーニング時にはHBs抗原のほか、全員がHBV-DNA定量下限以上(平均4.28 log copies/mL)だった。エンテカビルを投与開始後、5例は1.5カ月後、1例は9カ月後に生物学的製剤の投与を開始した。投与した生物学的製剤は、インフリキシマブ1例、エタネルセプト2例、アダリムマブ2例、トシリズマブ1例。生物学的製剤投与開始後、平均2.2年間追跡した。

 エンテカビル投与開始後、4週以内に全例のHBV-DNA量が定量下限である2.1 log copies/mLを下回り、最終観察時点では全例で検出されなかった。しかし、HBs抗原は全例が最終観察時まで陽性で、うち3例は2000超だった。

 本治療によるRAのコントロールは良好で、全例で疾患活動性が低下し、DAS28-ESRはベースラインの5.51から最終観察時には3.14に下がった。またALTはベースラインの20.2から最終観察時には13.2に低下し、B型肝炎の再活性化は認められなかった。

 以上の結果から多田氏は、肝臓内科医の定期的な経過観察のもとで、核酸アナログ剤のエンテカビルを併用すれば、B型肝炎キャリアに対する生物学的製剤の投与は有用で安全な治療の選択肢になり得ると結論した。