最近、骨密度とは独立した骨折リスク因子として骨質が注目されている。関節リウマチ(RA)ではしばしば骨質が低下し、骨質マーカーが高値を示すことが指摘されている。群馬大学整形外科学の米本由木夫氏らは、生物学的製剤を使用しているRA患者では、関節破壊の進行が抑制されるだけでなく、骨質マーカーも改善することを明らかにし、4月18日から20日に京都で開催された第57回日本リウマチ学会(JCR2013)で詳細を報告した。

 今回、米本氏らは骨質マーカーとしてペントシジンとホモシステインを採用し、これらの血中濃度と、骨代謝マーカー、骨密度、生物学的製剤使用の有無、疾患活動性(DAS28-ESR、DAS28-CRP、CDAI、SDAI)などとの関連性を検討した。

 対象は自施設でこれらの検査データを測定し得たRA患者71例。腎機能障害例や糖尿病合併例を除外し、62例を解析対象とした。

 対象(62例)の年齢は66.5歳、女性85%、RA罹病期間は14.5年。病期(ステージ)や機能障害(クラス)分類は進行例が多かった。メトトレキサート(MTX)使用率は61%で、他に、ステロイドが52%、骨粗鬆症治療薬としてビスホスホネート(BP)が29%、選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)が21%で使用されていた。

 対象を生物学的製剤使用群(32例)と非使用群(30例)に分けて両群の背景を比較したところ、使用群は有意に若年だったが、性別、RA罹病期間、病期、機能障害、MTXやステロイド、BP製剤、SERMの使用率、脆弱性骨折の既往率などに有意差はなかった。

 次に各種検査値を比較したところ、使用群では非使用群に比べ、炎症マーカーであるCRP、骨破壊マーカーであるMMP-3、疾患活動性(CDAI、SDAI)が有意に低く、血中ペントシジン値も有意に低かったが、骨密度、骨代謝マーカー、血中ホモシステイン値には有意差を認めなかった。

 骨質マーカーと他の因子との関連性を検討したところ、血中ペントシジン値は赤沈、DAS28-ESR、CDAI、SDAIと、血中ホモシステイン値はDAS28-CRPと有意に相関した。しかし、血中ペントシジン値と血中ホモシステイン値には、有意な相関は認められなかった。

 ロジスティック回帰分析を行い、血中ペントシジン高値の寄与因子を検討したところ、生物学的製剤非使用とDAS28-ESR高値が同定された。

 今回の検討では、血中ペントシジン値は赤沈、DAS28-ESR、CDAI、SDAIと相関したことから、RAの疾患活動性と関連すると考えられた。本研究は横断的検討ではあるが、生物学的製剤の使用例では血中ペントシジン値が低かったことから、生物学的製剤の使用によって血中ペントシジン値が低下した可能性が考えられた。

 また、2つの骨質マーカーには相関が認められなかったことから、血中ペントシジン高値と血中ホモシステイン高値は独立した病態である可能性も示唆された。

 以上の検討から米本氏は、「生物学的製剤はRAの疾患活動性を改善し、関節破壊の進行を抑制するだけでなく、骨質も改善し、骨折リスクを低下させる可能性がある」と結論した。