生物学的製剤休薬後、長期にわたり、かつ確実に寛解を維持していくにはどうしたらよいか、そのベストストラテジーはまだ確立していない。産業医科大学の名和田雅夫氏らは、インフリキシマブ(IFX)の寛解休薬2年後までの各種臨床指標を解析し、リウマトイド因子(RF)と総シャープスコア(TSS)を注視したタイトコントロールを行うことが重要だと、4月18日から20日まで京都で開催された第57回日本リウマチ学会(JCR2013)で発表した。

 名和田氏らは今回、自施設におけるIFX寛解休薬症例(98例)のなかで、IFX投与前と寛解休薬時、休薬1年後、休薬2年後のX線所見が揃っている62例を対象に、各評価時点における疾患活動性、血清学的検査値、HAQ、TSSなどの各種臨床指標を解析した。

 62例の平均年齢は50.6歳(女性比率85.5%)、平均罹病期間は47.5カ月で、機能障害度分類では全例がクラス1〜2、TSSは平均26.9だった。

 1年後に休薬を維持できていた患者(1年休薬維持例)は62例中54例(87.1%)だった。休薬後寛解を維持できた患者では、休薬後寛解を維持できなかった患者に比べて1年間のTSS増加量(ΔTSS)が有意に少なく(P=0.0203)、97.5%が構造的寛解(ΔTSS<0.5)の域にあった。

 また、休薬を維持できていた患者のうち43例は寛解状態も維持できており(1年休薬寛解維持例)、そのうち30例は2年後にも休薬寛解が維持できていた(2年休薬寛解維持例)。2年休薬寛解維持例では、IFX休薬1年後のDAS28-ESRが1.8、2年後の値が1.9であり、休薬前(同1.7)と同程度に疾患活動性がコントロールされていた。

 同様に、休薬後最初の1年間のΔTSSは−0.03、次の1年間では0.08と、関節破壊の進行も2年間にわたってほぼ完全に抑えられていた。しかし、JSNスコア(年間進行度)は、休薬時の値(−0.4)に比べ休薬2年後は0.08と、その値は上昇していた(P=0.008)。さらに、休薬時に16.7 IU/LだったRF値は、1年後には23.0 IU/L、2年後には29.6 IU/Lと上昇しており、2年後の値と休薬時の値の間には有意な差を認めた(P=0.033)。

 そこで名和田氏らは、再び休薬1年後のデータに立ち戻り、RFと休薬、ならびにRFと疾患活動性の関係について詳細な解析を行った。

 まず、1年休薬維持群と1年休薬非維持群に分けて休薬開始から1年間のRF変化量を比較すると、1年休薬維持群の増加量は17.2 IU/Lであり、1年休薬非維持群での増加量49.5 IU/Lと比べ、有意に少なかった(P=0.0362)。

 次に、IFX休薬時にRFが陽性だった患者(39例)のみを抽出して同様の解析を行うと、1年休薬非維持群では年間66.9 IU/LのRF上昇が認められたのに対し、1年休薬維持群の年間RF増加量は24.2 IU/Lにとどまった(P=0.0472)。また、RF増加量と、休薬1年後のDAS28-ESR値に正の相関がみられた。

 IFX休薬時にRFが陰性だった患者(23例)については、1年後まで陰性が持続していた患者群(陰性群)と陽転した患者群(陽転群)に分け、両者の1年後のDAS28-ESRを比較した。その結果、統計的有意には至らなかったものの、陽転群では陰性群に比べてDAS28-ESRが高い傾向にあった(2.91 対 2.02、P=0.05)。

 以上より、IFXによる寛解導入後に同薬剤を休薬した患者の疾患管理においては、RFの変動が疾患活動性の再上昇の予知因子となる可能性が示唆された。名和田氏は、「IFX休薬後も、RFやTSSの変化を注視したタイトコントロールにより、IFXの再導入やMTXの増量といった治療強化のタイミングを逃さないことが重要だと思われる」と指摘した。