関節リウマチ(RA)患者の人工膝関節全置換術(TKA)においては、術前の身体機能障害度が高くても、年齢が若く、炎症が抑えられれば、手術による身体機能障害の改善効果が持続する可能性が示された。また、術後の疾患活動性コントロールも身体機能の改善・維持に重要であることが示唆された。東京大学医学部整形外科脊椎外科の大橋暁氏が、4月18日から20日に京都で開催された第57回日本リウマチ学会(JCR2013)で発表した。

 大橋氏らは、多施設間リウマチ性疾患のデータベースであるNational Datebase of Rheumatic Diseases by iR-net in Japan(NinJa)の2003〜10年度のデータを用い、TKA後の身体機能に影響を及ぼす術前因子、および術後の疾患活動性の推移と身体機能の関係について検討した。

 対象は、2004〜06年度にTKAを受け、術後5年までフォローが行われ、その間に他の外科治療を受けていないRA患者77症例(うち男性10例、平均年齢63.5歳、平均罹病期間13.5年、Class分類平均2.4、Stage分類平均3.3)。

 術前から5年目までの主な指標の推移を検討したところ、CRP、DAS28、患者疼痛評価などは術後、改善する傾向が見られたが、身体機能障害指標であるmHAQは術後いったん改善したものの再び悪化する傾向にあった。

 術後5年目の評価で、mHAQが術前よりも改善した群(改善群:34例)と、増悪した群(増悪群:32例)の2群に分け、術前の評価項目を調べたところ、性別、術前のメトトレキサート(MTX)使用、術前の生物学的製剤の使用、経過中の使用薬剤の変更については、群間に有意差は認めなかった。

 だが、術前の血液検査値や疾患活動性を比較したところ、改善群では、年齢が若く(61.1歳 対 65.6歳、P=0.024)、mHAQがより悪く(1.1 対 0.77、P=0.042)、医師総合評価値も悪化していた(4.8 対 3.6、P=0.029)。また、CRPは改善群1.7mg/dL、増悪群2.8mg/dL(P=0.067)で、有意差は認めなかったものの改善群で低い傾向を示した。

 術後のDAS28-ESRは、術後1年目、3年目、4年目で改善群が有意に低く、DAS28-CRPも術後1年目、3年目、5年目において改善群が有意に低かった(いずれもP<0.05)。

 これらの結果から大橋氏は、「改善群は増悪群と比較して若く、術前におけるmHAQと医師総合評価値が悪かった。従って、術前の身体機能障害度が悪化していても、年齢が比較的若く、炎症が抑えられた状態であれば、TKAによる身体的機能障害の改善効果が中期的に持続する可能性がある。また、改善群では術後の疾患活動性がより低かったことから、TKA術後においても、疾患活動性を十分にコントロールすることが、患者の身体機能を改善・維持する上で重要であることを示唆している」と結論した。