米国リウマチ学会(ACR)と欧州リウマチ学会(EULAR)が2010年に策定した新分類基準では、腫脹・疼痛関節数、炎症マーカーなど12項目のスコアを合計し、6点以上の場合を関節リウマチ(RA)としている。だが、この基準を満たさなくとも、中等度以上の疾患活動性を呈する症例が存在することが示された。4月18日から20日に京都で開催された第57回日本リウマチ学会(JCR2013)で、丸の内病院(長野県松本市)リウマチセンターの山崎秀氏らが報告した。

 ACR/EULAR新分類基準は、日本においても日常診療で用いられるようになってきた。しかしRAが強く疑われるものの、新分類基準を満たさない症例も存在する。山崎氏らは、新分類基準を満たさないこれらの症例の診断と治療方法について検討した。

 2011年4月から2013年3月の間に、関節リウマチが疑われて同センターの新患外来を受診した例は181例だった。このうち6カ月以内にRAと確定診断された42例を対象に、初診時に新分類基準で6点以上だった30例と、6点未満だった12例を比較した。

 最終的にRAと診断された主な根拠は、少なくとも1カ所の持続的な関節腫脹に加え、7例がMRI所見あり(滑膜炎7例、骨炎3例)、4例が持続的なCRP亢進またはMMP-3高値、1例が抗CCP抗体陽性だった。

 平均罹病期間は6点未満群で0.75年(0.25−2.25年)、6点以上群で1.24年(0.1−5年)と、有意差は認めなかったものの6点未満群で比較的短期だった。リウマトイド因子(RF)陽性は、6点未満群で12例中4例、6点以上群で30例中22例と、6点以上群で有意に陽性率が高かった(P<0.01)。抗CCP抗体についても、6点以上群の方が有意に陽性率が高かった(P<0.01)。

 DAS28は6点未満群では4.28、6点以上群では4.1と有意差はなく、新分類基準に満たない症例でも中等度以上の疾患活動性を示す場合があることが分かった。同様にESR、CRP、MMP-3、疼痛関節数(TJC)も、両群の間で有意差を認めなかった。ただし、腫脹関節数(SJC)は6点未満群の方が有意に低かった(P<0.05)。

 1年間追跡できた例(6点未満群のうち9例、6点以上群のうち18例)における疾患活動性の推移を見ると、初診時のDAS28はほぼ同等で、6点未満群の方がやや高い傾向にあったが、6カ月後と1年後では6点未満群の方がやや低くなる傾向が見られた。治療の結果、寛解に至った例は6点未満群の方が多かった。

 関節破壊の推移を総シャープスコア(TSS)で見ると、初診時には6点以上群よりも6点未満群の方がTSSが低い傾向にあった。1年後には、6点未満群のTSSは初診時とほぼ同様、6点以上群は初診時に対して有意に高かった(P<0.01)。山崎氏は「比較的予後の良い例が6点未満例に含まれる可能性を示唆しているのではないか」と言う。

 これらの結果から山崎氏は、新分類基準で6点未満の症例の特徴として、罹病期間が短い、RF陰性例が多い、罹患関節数が少ない──ことなどを挙げ、実際はRAでありながらも「まだ症状が出そろっていない例が含まれているのではないか」と考察。また、比較的予後の良い症例が多く含まれる可能性に触れ、早期に診断して適切な治療を導入することの必要性を強調した。

 一方で山崎氏は、6点未満の症例は早期診断が難しいために、RA例を非RAと診断して治療の導入が遅れたり、逆に非RA症例をRAと診断して過剰治療になるケースがあるとも指摘。「注意深い経過観察が必要になる」とまとめた。