厳格な寛解基準であるBoolean trials基準の4項目のうち、基準を満たす割合が最も低い患者全般評価値(PtGA)について、1cmを超えて基準を満たせなくなることと有意に関連する因子は、患者疼痛評価高値、身体機能障害の進行、生物学的製剤未使用であることが示された。東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターの井上靖氏が、4月18日から20日まで京都で開催された第57回日本リウマチ学会(JCR2013)で発表した。

 Boolean trials基準は、圧痛関節数(TJC28)、腫脹関節数(SJC28)、CRPおよびPtGA(0〜10cm)の4項目が全て1以下である場合に寛解と定義される厳格な基準だが、PtGA値のみが高いことでこの基準を満たさない患者は実臨床において少なくない。海外においても同様な状況が報告されている。

 そこで今回井上氏らは、PtGA高値に、どのような因子が影響を与えているかを、同センターのRA患者を登録したIORRAコホートのデータを用いて明らかにすることを目的に検討した。

 対象は、2011年4〜6月に実施したIORRA調査に参加した5356例の関節リウマチ患者のうち、Boolean trials基準の4項目が全て解析可能な5276例とした。患者による疼痛評価(pain)、PtGA、医師による全般評価(PhGA)については、Visual Analogue Scale(VAS、0〜100mm)を用いて評価した。

 患者背景は、女性84.3%、年齢60.1歳、罹病期間13.5年、pain値26.3mm、PtGA値28.8mm、PhGA値13.1mm、SJC28 1.2、TJC28 1.0、DAS28-ESR 3.04、CRP 0.54mg/dL、メトトレキサート(MTX)服用率71.6%、生物学的製剤使用率14.5%だった。

 各寛解基準の達成率を見ると、DAS28-ESRで寛解とされた患者は約38%、以下、CDAIでは約32%、SDAIでは約34%、Boolean practiceでは約25%、Boolean trialsでは約24%で、Boolean trials基準による寛解達成率が最も低かった。Boolean trials基準の各項目の達成割合を見ると、TJC、SJC、CRPはそれぞれ約75%が1以下となり条件を満たしていたが、PtGAが1cm以下だったのは約30%にとどまった。

 また、Boolean trials寛解基準の4項目中3項目のみ満たした患者において、満たされなかった1項目の内訳を見たところ、1994例中、85.3%に当たる1701例がPtGA値が1cm超だったために寛解基準を満たさなかった。

 各変数とPtGA値との相関を見ると、pain値とJ-HAQスコアに強い相関があった。PtGA値が1cm超となることに関連する因子をロジスティック回帰分析により解析したところ、pain値(オッズ比[OR]:1.25、95%信頼区間[CI]:1.23-1.27、P<0.0001)、J-HAQ(OR:1.82、95%CI:1.49-2.23、P<0.0001)、生物学的製剤使用(OR:0.69、0.53-0.90、P=0.0057)の3つが有意な因子として抽出された。

 これらの結果から井上氏は、「日常診療において、関節リウマチ患者の患者全般評価(PtGA)が1cmを超えることに関連する有意な因子は、患者疼痛評価高値、身体機能障害の進行、生物学的製剤未使用だった」と結論した。