近年、関節リウマチ(RA)の治療において、寛解導入後に生物学的製剤を休薬して「バイオフリー」とする試みが注目されている。名古屋市立大学病院の難波大夫氏らは、寛解休薬を試みた自験例44例のデータを解析し、比較的早期の症例で「深い寛解」を条件として休薬すれば、1年以上の寛解休薬を高率で実現できる可能性が高いとする成績をまとめ、4月18日から20日まで京都で開催された第57回日本リウマチ学会(JCR2013)で発表した。

 難波氏らは、生物学的製剤の寛解休薬の条件として、(1)ステロイド薬が不要、(2)66の評価対象関節に圧痛や可動域制限を伴った腫脹関節がない(SJC66=0)、(3)66の評価対象関節のなかで圧痛や可動域制限を伴わない腫脹関節数が1以下(SJC66≦1)、(4)MMP-3およびCRPまたは血沈が正常――という4項目全てを満たす状態が6カ月以上持続しており、かつ(5)X線上、関節破壊の進行が認められないこと、(6)休薬時に違和感を含めた症状がなく、軽度腫脹のある関節においても関節エコー上パワードプラシグナルが認められないこと――の計6項目をあげている。

 2004年1月〜11年12月に、生物学的製剤の治療を3カ月以上継続した自験例は112例だった。この中で、メトトレキサート(MTX)またはレフルノミド抵抗性のRA患者に生物学的製剤を追加投与した症例が101例あり、うち44例で生物学的製剤の休薬が可能だった。難波氏らは、この44例を対象に、治療状況や患者背景をレトロスペクティブに解析するとともに、寛解維持期間の長さに影響を及ぼす因子の検索を行った。

 生物学的製剤導入時の年齢は中央値で56.3歳、女性比率が73%で、罹病期間は中央値1.0年という、比較的発症早期の患者だった。また、生物学的製剤の使用期間は中央値2.2年で、寛解導入までに要した期間は中央値0.5年だった。

 最初に処方された生物学的製剤の内訳は、インフリキシマブ(IFX)が26例、エタネルセプト(ETN)が15例、アダリムマブ(ADA)とトシリズマブ(TCZ)、アバタセプト(ABT)が各1例で、IFX投与例のうち6例は、途中でETNまたはADAへの切り替えが行われていた(各3例)。

 難波氏らは、これらの患者を様々な背景因子で層別化し、寛解休薬維持率のKaplan-Meier解析を行った。なお、休薬期間の起算日は、生物学的製剤を継続した場合の次回投与予定日とした。すなわち、8週間隔投与が基本であるIFXの場合は最終投与日から8週後、毎週投与のETNの場合は最終投与日から1週後を0日とした。

 また、「寛解休薬からの逸脱」とは、生物学的製剤の再開や他の治療薬の追加・増量など治療の再強化が図られた場合、または、連続した2回の評価においてBoolean基準とSDAI基準のどちらの基準でも「寛解」に相当せず、なおかつ腫脹関節数が休薬時点より増加していた場合と定義した。

 その結果、性別、年齢、罹病期間、生物学的製剤の治療期間、寛解到達までに要した期間、生物学的製剤導入時の疾患活動性、リウマトイド因子の状況、ステロイド併用の有無での層別化においては、寛解休薬維持率に有意な違いは認められなかった。

 次に、使用した生物学的製剤の種類と切り替えの有無によって層別し、例数が少ないADA、TCZ、ABT使用例を除く41例でKaplan-Meier解析を行うと、有意な差には至らなかった(p=0.11)が、IFX単独群(20例)、ETN群(15例)、切り替え群(6例)の順で寛解休薬維持率が優れる傾向がみられた。

 また、切り替えの有無にかかわらず一貫して抗TNF抗体製剤(IFXまたはADA)で治療された患者群(抗TNF抗体製剤群、24例)と、一貫してTNF受容体製剤で治療された患者群(TNF受容体製剤群、15例)に分けた場合も、抗TNF抗体製剤群の方が寛解休薬維持率に優る傾向がみられた(P=0.46)。TNF阻害薬の違いを含め、寛解休薬維持に影響を与える要因については、さらなる検討が必要と考えられた。なお、1年間の寛解休薬維持率はどちらも6割を超えていた。

 以上から、比較的発症早期のMTX抵抗性RA患者では、TNF阻害薬による寛解導入後にTNF阻害薬を休薬しても、6割以上の患者で1年間にわたり寛解が維持できることが認められた。先に紹介したように、難波氏らは寛解休薬に踏み切る条件をかなり厳しく設定している。難波氏は、この「深い寛解」がバイオフリーの要件となる可能性を指摘した上で、「症例数を増やし、今後さらに詳しく検討したい」と語った。