関節リウマチ患者7000人超に対するレトロスペクティブな研究で、関節リウマチ患者全体、および女性においては、低BMIの患者ほど罹患年数が長く、低BMIであることと疾患活動性が高いことには何らかの関連がある可能性が示された。国立病院機構相模原病院臨床研究センター・リウマチ性疾患研究部の津野宏隆氏らが、4月18日から20日に京都で開催された第57回日本リウマチ学会(JCR2013)で発表した。

 津野氏らは第56回日本リウマチ学会において、低BMIと高疾患活動性が関連していることを報告している。今回は、低BMIと疾患活動性の交絡因子を調整するために多変量解析を行い、関節リウマチ患者におけるBMIと疾患活動性および治療抵抗性の関係について検討した。

 対象は、NinJa(iR-netによる関節リウマチデータベース)2011に登録された関節リウマチ患者1万368例のうち、BMIを算出し得た7365例(うち男性1446例)とした。平均BMIは21.9kg/m2だった。全対象を、BMIが18.5kg/m2未満のunder weight群(1090例、14.8%)、18.5kg/m2以上25kg/m2未満のnormal群(4959例、67.3%)、25kg/m2以上30kg/m2未満のover weight群(1147例、15.6%)、30kg/m2以上のobesity群(169例、2.3%)の4群に分けた。

 罹患年数は、under weight群において14.3年で、normal群の11.9年と比べ有意に長期だった(t検定でP<0.001)。一方、over weight群では11.0年、obesity群では9.4年といずれもnormal群と比べ有意に短期だった(t検定で、順にP<0.05、P<0.001)。

 BMI別の寛解達成率を見ると、患者全体および女性のunder weight群はnormal群と比べて疾患活動性を示すCDAIが有意に高く、寛解率は有意に低かった(母比率の差の検定で、いずれもP<0.001)。男性においては、有意差はつかなかったもののCDAIがunder weight群において高くなる傾向を認め、寛解率はnormal群に比べてobesity群で有意に高かった(母比率の差の検定で、P<0.001)。

 次に、全対象をBMIが18.5kg/m2未満のa群、BMIが18.5kg/m2以上のb群の2群に分け、疾患活動性と治療抵抗性を比較した。

 a群のうちCDAIが10超(中〜高疾患活動性)である例は511例(45.7%)、b群のうちCDAIが10超である例は2195例(35.1%)だった。b群を基準としてa群のオッズ比を算出すると、1.55(95%信頼区間[CI]:1.37-1.77、P<0.0001)となり、有意にリスクが高かった。また、b群に対するa群のオッズ比を男女別に見ると、男性で1.53(95%CI:1.05-2.21、P=0.02)、女性で1.53(95%CI:1.33-1.76、P<0.0001)と、いずれもa群でCDAIが10超となるリスクが高かった。

 この結果から年齢、罹患年数、mHAQ、Stage分類といった背景因子を調整するため、ロジスティック回帰分析を行った。多変量調整によるa群の相対リスクは、全体でオッズ比1.34(95%CI:1.14-1.57、P=0.0002)、女性で1.37(95%CI:1.16-1.62、P=0.0002)と、a群でCDAI 10超となるリスクが有意に高かったが、男性はオッズ比1.10(95%CI:0.68-1.80、P=0.67)で、有意差は消失した。

 次にBMIと治療抵抗性の関係を検討するため、CDAI寛解達成者のうちメトトレキサート(MTX)もしくはプレドニゾロン(PSL)を使用している患者を抽出し、BMI 18.5kg/m2未満と18.5kg/m2以上の2群で、BMI当たりのMTXおよびPSLの投与量を算出し、群間比較を行った。すると、全体、男性、女性の全てで、BMIが18.5kg/m2未満の群において有意に寛解達成に要するBMI当たりのMTX、PSL量が多かった。そのため、低BMIが治療抵抗性に寄与する可能性も示唆された。

 これらの結果から津野氏は、「BMIが低いことと関節リウマチの疾患活動性および治療抵抗性が高いことは関連する」と結論した。また、本研究の限界について「今回の解析ではunder weightが高疾患活動性、治療抵抗性の原因なのか結果なのかを明らかにすることは困難であり、結果の解釈には十分な注意を要する。これらの解明のためには前向き研究が必要だ」と述べた。

 その上で、「全体および女性においてはunder weight群で有意に罹患年数が長かった。これは、疾患活動性が高い状態が継続することでBMIが低下するという可能性も考えられる。一方、今回の解析で、年齢、罹患年数、ステージ、mHAQなどの因子について多変量調整を行った後でも、under weightが中疾患活動性以上であるリスクになるという結果が得られた。これは、低BMIであること自体が疾患活動性を高めることに何らかの影響を与えている可能性がある」と考察した。