新型インフルエンザワクチンの接種は、関節リウマチ患者に対しても有効であることが示された。また、新型インフルエンザ発症の有意なリスク因子はワクチン非接種と高齢で、関節リウマチの疾患活動性や治療内容は関連がなかった。東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターの小橋川剛氏が、4月18日から20日に京都で開催された第57回日本リウマチ学会(JCR2013)で発表した。

 関節リウマチ患者においては、新型インフルエンザ(2009 AH1N1 pdm)ワクチン接種によって抗体価が上昇することが示されている。しかし、実際の新型インフルエンザに対するワクチンの効果は検討されていなかった。

 そこで今回、新型インフルエンザに対するAH1N1 pdmワクチン接種の有効性と発症に関連する因子について、同センターを受診している関節リウマチ患者を登録したIORRAコホートのデータを用いて検討した。

 対象は、2010年4月施行のIORRA調査に参加したRA患者5582例のうち、インフルエンザワクチン接種や発症に関する回答のあった4863例とした。

 患者背景は、女性85.6%、年齢61.2歳、罹病期間11年、BMI 20.8kg/m2、DAS28 3.00、J-HAQ 0.38、メトトレキサート(MTX)服用割合70.5%、MTX服用量6mg/週、ステロイド服用割合44.7%、プレドニゾロン(PSL)服用量0mg/日、生物学的製剤使用割合10.6%、新型インフルエンザワクチン接種率35.2%だった。

 全対象患者における新型インフルエンザ罹患率は3.0%。ワクチン接種者の罹患率2.2%に対し、非接種者の罹患率は3.5%と有意に高かった(P<0.01)。非ワクチン接種者に対するワクチン接種者の新型インフルエンザ発症の相対危険度は0.614で、ワクチンの有効率は38.6%だった。

 次に、新型インフルエンザ発症のリスク因子を、インフルエンザシーズン前の2009年10月のIORRA調査データを用い、多変量解析によって検討した。説明変数としては、性別、年齢、罹病期間、BMI、DAS28、J-HAQ、MTX服用割合・服用量、ステロイド服用割合、PSL服用量、生物学的製剤の使用割合、新型ワクチン接種率とした。

 その結果、有意なリスク因子は、年齢上昇(1歳増加当たりのオッズ比[OR] 1.03、95%信頼区間[CI]:1.01-1.04、P<0.001)とワクチン接種(OR 0.78、95%CI:0.63-0.95、P=0.014)だった。

 これらの結果から小橋川氏は、「ワクチン非接種と高齢であることが新型インフルエンザ発症の有意なリスク因子であり、疾患活動性や治療内容との関連は認められなかった」とまとめた。また、今回のIORRAコホートにおける検討結果と日本人一般集団におけるインフルエンザ罹患率とワクチン有効性を比較し、「ワクチン有効率は関節リウマチ患者の38.6%に対して一般集団が69.7%と一般集団の方が優れるものの、関節リウマチ患者においてもワクチン接種は有効であることが示された」と結論した。