市立御前崎総合病院の大橋弘幸氏

 関節リウマチ(RA)の治療目標は寛解だが、生物学的製剤で寛解を達成した後は、生物学的製剤を休薬する「バイオフリー寛解」の達成と維持が理想と言えるだろう。インフリキシマブ(IFX)による寛解導入後、同薬を休薬し、バイオフリーにした患者の臨床的背景を解析した研究から、バイオフリーにした後も十分量のメトトレキサート(MTX)を継続投与することが、再燃を防ぐ上で重要なポイントの1つであることが示唆された。市立御前崎総合病院の大橋弘幸氏らが、4月26日から28日まで東京で開催された第56回日本リウマチ学会(JCR2012)で発表した。

 対象は、大橋氏らの施設でIFXの投与を開始したRA患者100人のうち、14週以上の追跡が可能だった患者91人。このうち14例がIFX投与下で6カ月以上にわたりDAS28寛解を継続した後、IFXを休薬し、バイオフリーとなった。

 同氏らはまず、これらの14例(バイオフリー群)とそれ以外の77例(対照群)のIFX投与開始時の患者背景を比較した。

 その結果、バイオフリー群は対照群と比較して、Steinbrockerステージ分類とクラス分類が有意に早期であった(ともにP<0.05)。また、バイオフリー群ではステロイドの平均投与量が有意に少なかった(0.5±1.5mg/日 対 2.3±2.8mg/日、P<0.01)。年齢、罹病期間、疼痛および腫脹関節数、mHAQ、患者および医師による疼痛評価や全般評価などには有意差はなかった。

 一方、疾患活動性の指標であるDAS28-ESR、DAS28-CRP、CDAI、SDAIのベースライン時の値は、いずれもバイオフリー群がやや低めだったが、有意な差はみられなかった。しかしながら、IFX開始後14週時点のこれらの指標をみると、すべてバイオフリー群が有意に低値で、バイオフリー群はIFXに対する治療応答性が良好な症例であったと示唆された。

 次に、バイオフリー群における再燃の状況と、再燃を予見する因子の有無を調べた。14例中7例で休薬後もDAS寛解を維持していたが、他の7例は再燃を来していた。興味深いことに、DAS寛解を維持した症例は、いずれも休薬前と同量以上のMTXが継続されていたのに対し、再燃した7例中3例でMTXが中止されており、3例がMTX投与量を減量していた。

 また、バイオフリー群におけるIFX休薬の判断は、DAS28寛解に基づいて行われたわけだが、昨年新たに示されたACR/EULARの新寛解基準で再評価してみたところ、再燃せずDAS寛解を維持できた7例は全例がSDAI寛解を達成し、5例はBoolean基準も満たしていた。これに対し、再燃した7例ではSDAI寛解達成が5例、Boolean基準を満たしたのは2例のみであった。

 以上の結果から、IFXを休薬した症例は、ステージ分類やクラス分類が比較的早期の症例であり、IFXに対する治療応答性が良い症例である可能性が推測された。さらに、ステロイドの併用がなく、IFX休薬後も十分量のMTXを継続することが、再燃を防ぐ上で重要と考えられた。

 バイオフリー達成後の次なる目標は抗リウマチ薬をすべて休薬する「ドラッグフリー」とその後の寛解維持であるが、大橋氏は、「バイオフリー達成後、無理にドラッグフリーを目指すのではなく、MTX治療を継続することも現実的な選択肢なのではないか」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)