亀田総合病院の吉田和樹氏

 従来、インフリキシマブIFX)の点滴時間は2時間以上とされてきたが、先頃、添付文書が改訂され、6週目(3回目)の投与を行った後は、それまでのIFX投与で投与時反応が認められなければ、点滴速度を上げて点滴時間を短縮することができるようになった。しかし、点滴時間短縮に関する医療現場からの報告は、わが国ではそれほど多くない。亀田総合病院吉田和樹氏らは、4月26日から28日に東京で開催された第56回日本リウマチ学会(JCR2012)で、15例と少数例での検討ながら、通常の2時間以上の点滴に忍容性のある患者なら1時間への点滴時間短縮は問題がなかったと報告した。

 IFXは投与時反応への配慮が必要だが、RA以外の疾患での使用を含め、約10年に及ぶ本邦臨床現場での経験や多くの研究データの蓄積から、投与時反応の発生状況や有効な対策などが明らかになってきた。点滴用の処置室や点滴時に使用するベッドなど、医療資源の有効活用の観点からも点滴時間の短縮を求める声は多く、裁量により実践してきた医療施設もあった。

 亀田総合病院でも、患者の状態と希望を十分考慮した上で点滴時間の短縮を行っており、今回、吉田氏らは、その実施状況と副作用の発生状況をまとめ、1時間での点滴が可能な患者の具体像について考察した。

 検討対象は、2011年4月までに亀田総合病院リウマチ膠原病内科の管理下でIFX投与を受けたRA患者102例。このうち15例に1時間での点滴が行われていた。

 1時間点滴が行われた症例の年齢は55.6歳、IFX投与量は4mg/kg、メトトレキサート(MTX)投与量は8mg/週、ステロイド投与量は4mg/日だった(いずれも中央値)。また、これらの症例の背景因子は、MTXやステロイドの使用状況を含め、IFX投与患者全体とほぼ同じだった。

 15例のうち13例はIFXが1剤目の生物学的製剤であり、2剤目、3剤目としての投与が各1例だった。また、点滴時間の短縮を開始した時期は、最短で4回目の投与時(1例)からで、以下、5回目からが4例、6回目からが2例、7回目からが2例、1年後以降に短縮を開始したのが6例だった。

 15例中3例は、2時間点滴を行っていた期間に軽度の投与時反応がみられた患者であった。これら3例では、以後のIFX投与時にはアセトアミノフェンの前投与を受けていた(うち1例でアセトアミノフェンからプレドニゾロン[PSL]20mg静注への変更あり)。また、別の1例は、IFXの効果減弱に対する補助療法としてPSL 20mgの前投与を受けていた。これらの処置は点滴時間短縮後も継続された。残りの11例では、点滴時間短縮の前後を通じて前投与は行われなかった。

 結局、1時間での点滴は全15例で安全に行われ、投与時反応が認められた症例はなかった。

 これらの結果から吉田氏は、「IFXの2時間点滴に忍容性のある患者については1時間点滴への切り替えが可能であり、2時間点滴で前投与が不要だった場合、1時間に点滴時間を短縮しても特に前投与は必要ないことが示唆された」と指摘した。

 なお、今回の検討は国内添付文書の改訂前に行われたが、いずれの症例も点滴時間短縮は4回目の投与時以降に実施されており、改訂内容に則っている。吉田氏は、「今後は、医療資源の有効活用の観点から、より積極的に1時間点滴への切り替えを考慮していく」と語った。

(日経メディカル別冊編集)