慶応義塾大学リウマチ内科の金子祐子氏

 リウマチ寛解基準の中で寛解率を比べたところ、ACR/EULAR基準が最も厳しいことが示された。また、ACR/EULAR基準の4項目のうち3項目をクリアできている症例においては、クリアできない残りの1項目は患者VASに集中し、9割近くに上ることも明らかになった。慶応義塾大学リウマチ内科の金子祐子氏らが、4月末に東京で開催された第56回日本リウマチ学会(JCR2012)で発表した。金子氏らは、他覚所見やHAQ値からみて、患者VASの許容範囲を再検討する必要があるのではないかなどと考察した。

 RA寛解達成の指標としては、これまでDAS28が広く用いられてきた。2010年にACR/EULARが共同で寛解基準を発表したことを受けて演者らは、このACR/EULAR基準の特徴や注意点を把握することが重要と判断。慶応義塾大学病院免疫統括医療センターおよびリウマチ内科における診療成績をもとに、ACR/EULAR基準の検証を行った。

 対象は、2011年10〜12月に同センターおよびリウマチ内科を受診したRA患者1449人。データが不十分であった47例を除き、1402例を対象に解析を行った。

 寛解基準には、DAS28のほか、SDAI、CDAI、ACR/EULARの4つを用いた。各基準において、疾患活動性および寛解率、HAQとの相関、寛解未達成の因子抽出、患者VASの影響などを検討した。

 対象の背景は、年齢(中央値)が62歳(52-70)、罹病機関(中央値)が94月(36-192)、平均疼痛関節数が0.9、平均腫脹関節数が1.4などだった。

 各基準別に寛解率を求めたところ、DAS28が46%、SDAIが45%、CDAIが41%とそれぞれ40%台だったのに対し、ACR/EULARだけは31%で、最も厳しい基準だった。その一方で、HAQとの相関については、ACR/EULARは、SDAI、CDAIと同等によく相関することも分かった。

 次に演者らは、ACR/EULAR基準の4項目中1項目がクリアできなかったために非寛解となった419症例を対象に、寛解未達成の因子を抽出した。

 この419症例において未達成だった残りの1項目をみたところ、患者VASが87%と突出していたことが分かった。腫脹関節数が8%、疼痛関節数が4%、CRPが1%と続き、「患者VASがクリアできれば寛解達成となる患者が大半」であった。

 419例(非寛解群)と寛解を達成した442例(寛解群)について比較したところ、非寛解群が寛解群より罹病期間が有意に長く(137月 対 102月、P<0.001)、患者VAS(30 対 4、P<0.001)とHAQ(0.75 対 0.16、P<0.001)が有意に低いという特徴も浮かび上がった。

 さらに患者VASにもとづいた層別化分析を行ったところ、患者VASの0-10と10-20のグループにおいては、CRPやHAQあるいはSDAIとCDAIの寛解率に、それぞれ著しい差は認められないことも分かった。

 演者らはこれらの結果から、「リウマチ寛解基準のうちACR/EULAR基準が最も厳しいことが示された」と結論。日常診療においては約30%で達成可能であったとも指摘した。その上で、ACR/EULAR基準において1項目だけクリアできない非寛解例では、大半が患者VASの未達成が原因だった点に注目し、「他覚所見やHAQ値からみて、患者VASの許容範囲を再検討する必要があると考えられた」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)