西多賀病院(宮城県仙台市)の古泉豊氏

 関節リウマチRA)患者は、頸椎病変により脊髄症を発症すると、四肢関節障害と相まってADLが著しく悪化する。RA頸椎病変に対しては、近年広く手術が行われているが、その至適タイミングや術後の成績については一定の見解が得られていない。そこで、RA頸椎手術の至適タイミングを検討するために術後長期生存例と短期死亡例を比較したところ、高齢、男性、RAの重症例、重度脊髄症などが生命予後不良因子であることが明らかになった。4月28日まで東京で開催された第56回日本リウマチ学会(JCR2012)で、西多賀病院(宮城県仙台市)の古泉豊氏らが発表した。

 対象は、1979年から2000年にRA頸椎病変患者で手術を行い、10年以上の追跡調査を行ったA群80人と、死亡を確認したB群86人の計166人(男性41人、女性125人)。

 手術時の年齢、RAの機能障害度の分類(Steinbrocker)、RA頸椎病変の分類、手術までのRA罹患期間、脊髄症の有無などについて検討した。

 その結果、手術時の年齢はA群57.4歳、B群64.3歳で有意にB群の方が高齢だった(P<0.01)。またB群の方が男性の割合が多かった(P<0.01)。RAの機能障害度の分類を見ると、B群の方がA群よりRA進行例(P<0.05)、重症機能障害例(P<0.01)が多かった。術前のRA罹患期間については両群間で差はなかった。B群の死亡時年齢は平均70.0歳だった。

 また、脊髄症例がB群で多く(A群45% 対 B群77%)、中でも歩行不能な重度の脊髄症が多かった(B群の脊髄症例のうち45%がRanawat分類IIIB)。術前に歩行不能だった症例(A+B群)の5年累積生存率は56%で、B群(55%)と同様で生命予後が不良だった。

 ただし、短期死亡群のB群を、術前歩行可能例と不能例に分けて5年生存率を比較しても差が見られなかった(それぞれ59%、52%)。この点については、「RA自体の重症度が生命予後に影響を及ぼしている可能性がある」と古泉氏はコメントした。

 今回の結果を踏まえ、同氏は頸椎手術の至適タイミングについて、「脊髄症が重症化する(歩行不能になる)前が望ましい。脊髄障害が危惧される高度不安定性の症例、項頸部・後頭部痛のあるRA頸椎患者では積極的な手術治療を考慮すべきだろう」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)