抱生会丸の内病院リウマチセンターの山崎秀氏

 長野県内のリウマチ診療の実態についてアンケート調査した結果、生物学的製剤を使用する医師は年々増加し、昨年には半数を占めるまでになったことが分かった。また、生物学的製剤を使用していない医師のうち、「専門医と連携して使用する」と回答した医師の割合は2006年は30%だったが、2008年には54.5%に増加したことも分かった。信州リウマチネットワークが実施したアンケート結果について、抱生会丸の内病院リウマチセンターの山崎秀氏らが、4月28日まで東京で開催された第56回日本リウマチ学会(JCR2012)で発表した。

 信州リウマチネットワークでは、2006〜2011年に、年1回の会員向けアンケート調査のほか、啓発活動を実施している。

 今回、山崎氏らは、信州リウマチネットワークが過去5回行った会員へのアンケート調査の結果を分析し、今後のリウマチ医療向上に向けた課題を検討した。アンケート用紙は、信州リウマチ膠原病懇談会の案内状発送名簿をもとに、長野県内のリウマチ医療に携わる医師に送った。調査項目は、診療科目、患者数、生物学的製剤使用の有無、専門医との連携状況、DAS28評価実施の有無、Treat to Target(T2T)適用の有無など。
 
 2006年の回答数は105人(回収率43.8%)、2007年は114人(33.3%)、2008年は121人(34.4%)、2009年は95人(26.5%)、2011年は83人(21.7%)だった。

 診療科目は整形外科が78.9%を占めていたほか、10〜20人のRA患者を診療している医師が多い傾向があった。

 生物学的製剤を使用している医師の割合は、2006年が30.5%、2007年が35.1%、2008年が34.7%、2009年が49.5%、2011年が55.4%となり、年々増加する傾向が確認された。

 長野県内の生物学的製剤別の使用状況を見ると、エタネルセプトを使用する医師、患者が多く、ついでインフリキシマブだった。山崎氏は「先行して使用できるようになった2剤に比べ、そのほかの生物学的製剤の普及は十分でない」とコメントした。

 生物学的製剤を使用していない理由を医師に質問したところ、「副作用が心配」と回答した医師が一番多く、「適応症例なし」「医療費が高い」と続いた。

 さらに、生物学的製剤を使用していない医師を対象に、今後の生物学的製剤への取り組みを聞いたところ、「専門医と連携して使用する」と回答した医師の割合が2006年は30%にとどまっていたのに対し、2008年には54.5%に増加していた。これについて山崎氏は「生物学的製剤は、専門医と十分に連携して使用する必要があるという意識が高まっているようだ」と述べた。

 生物学的製剤を広く安全に普及させるための方策について質問したところ、「緊急の副作用に対処できる施設との連携」との回答が目立った。

 日常診療でのDAS28による評価については、「ほとんどしていない」「していない」という回答が51.7%を占めた。

 T2Tの各ステートメントの平均点を調べたところ、点数が高かったステートメントは「疾患活動性指標の選択や治療目標の設定には合併症、患者要因、薬剤関連リスクなどを考慮する」「RAの治療目標はまず臨床的寛解を達成すること」だった。

 一方、最も点数が低かったステートメントは、「患者はリウマチ医の指導のもとに、目標達成に向けた治療(T2T)について適切に説明を受けるべきである」だった。また、「治療目標が達成されるまで、薬剤は少なくとも3カ月ごとに見直すべきである」も点数が低く、同ステートメントを常に適用していると回答した医師は20.5%にとどまった。

 山崎氏は、信州リウマチネットワークの活動はリウマチ医療の変革についての情報発信を行うことで一定の成果を上げたと結論する一方で、「リウマチ医療向上のためには、疾患活動性の評価やtight controlの実践に関して、さらに啓発活動を進める必要がある」と指摘。今後は、医療連携の強化とともRA診療に習熟したスタッフの育成、医師・患者への情報発信を続ける必要があると述べた。

(日経メディカル別冊編集)