産業医科大学第一内科学の名和田雅夫氏

 生物学的製剤導入から1年が経過した関節リウマチRA)患者を対象に、生物学的製剤4剤それぞれの継続率、効果不良での離脱率、疾患活動性について検討した結果、いずれにおいても有意差は見られなかったことが示された。また、インフリキシマブIFX)、アダリムマブADA)導入群では寛解休薬率が有意に高かったことも分かった。産業医科大学第一内科学の名和田雅夫氏らが、4月26日から28日まで東京で開催された第56回日本リウマチ学会(JCR2012)で発表した。

 同科では、IFXが上市されて以降、1392人のRA患者に生物学的製剤を導入している。名和田氏は、生物学的製剤4剤の特性を踏まえ、安全性・有効性を配慮した適正使用を行うため、同科のRA患者を対象に患者背景や継続率について統計解析を行った。

 対象は、2008年7月〜2010年10月に同科で生物学的製剤を導入し、治療後1年が経過したRA患者。IFX群は140人、エタネルセプト(ETN)群が117人、トシリズマブ(TCZ)群が122人、ADA群が191人だった。

 主要評価項目は、各生物学的製剤投与1年間の継続率、副次評価項目は投与1年間の有害事象発現率、効果不良での離脱率、寛解での休薬率。メトトレキサート(MTX)8mg/週以上の併用を基本にし、寛解達成後は計画的に休薬した。EULARのNo responseまたは中等度疾患活動性以上を2カ月以上維持の無効症例では薬剤を変更するほか、IFXの場合は増量もしくは投与期間を短縮した。また、感染症を予防するために予防基準を策定し、感染症リスク因子に応じた予防を行った。

 まず最初に生物学的製剤導入前の患者背景を解析すると、IFX群の平均年齢は51.1歳、ETN群は70.1歳、TCZ群は58.0歳、ADAは61.0歳となり、IFX群で若年、ETN群で高齢での生物学的製剤導入者が多かった。

 罹病期間については、IFX群(38.6カ月)が比較的短く、ETN群(152.5カ月)、TCZ群(145.5カ月)で長い傾向があった。ADA群は107.0カ月だった。

 疾患活動性(DAS28-ESR)は4剤で有意差がなかったが、機能障害を示すHAQ-DIはIFX群で低く、ETN群、TCZ群で高かった。MTX併用率は、IFX群(100%)、ADA群(95.3%)で高く、ETN群(68.4%)、TCZ群(57.4%)で低かった。

 生物学的製剤未使用患者の割合は、IFX群95.7%、ETN群84.6%、ADA群77.0%、TCZ群45.1%となり、TNF阻害薬で高く、TCZ群で低かった。

 主要評価項目である生物学的製剤導入1年後の継続率は、4剤ともに約8割となり、有意差はなかった。効果不良での離脱率についても4剤で有意差はなかった。

 一方、有害事象の発現率をみると、患者背景の違いが影響し、TCZ群、ETN群においてそのほかの2群と比べ、有意に高かった。

 寛解での休薬率では、IFX群とADA群で約15%ほどで、ほかの2剤より有意に高かった。

 加えて、各生物学的製剤の疾患活動性(DAS28-ESR、DAS28-CRP)は、生物学的製剤投与開始時、投与開始6カ月後、12カ月後のいずれの時点でも4剤間に有意差はみられなかった。

 これらの結果から名和田氏は、「各生物学的製剤の特徴を踏まえた適正使用により、どの薬剤も安全かつ効果的に使用可能で、高い継続率と寛解休薬率を維持しうることが示唆された」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)