東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターの設楽久美氏

 ACR/EULAR寛解基準を満たす関節リウマチRA)患者の長期予後についてはまだ明らかではないが、日常診療における患者コホートを用いて機能障害の進行防止効果について検討したところ、新寛解基準を達成した患者の方がDAS28寛解を達成した患者よりも、機能障害が進行する割合が低いことが分かった。4月26日から28日まで東京で開催された第56回日本リウマチ学会(JCR2012)で、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター設楽久美氏が発表した。

 対象は、同センターが毎年2回実施しているRA患者の前向き観察研究(IORRA)において、2008年4月の調査でDAS28寛解を達成し、その後2010年10月の調査まで連続して5回の調査に参加した関節リウマチ患者915人。

 使用した寛解基準はACR/EULAR寛解基準のBoolean trials、SDAI、Boolean practice、CDAIとDAS28寛解基準の計5つ。それぞれの基準について寛解達成回数(0回、1〜2回、3〜4回、5〜6回)で患者を群別化し、機能障害の進行度(日常生活動作の指標であるJ-HAQスコアの6回目と1回目の差分)を累積確立曲線で示した。

 その結果、6回の調査すべてで寛解基準を満たした患者でJ-HAQが進行した患者の割合は、それぞれBoolean trials 6.2%、SDAI 8.5%、Boolean practice 5.7%、CDAI 7.1%、DAS28 14.2%となり、DAS28が最も高かった。

 なお、いずれの寛解基準でも、達成回数が多いほどJ-HAQが進行した患者の割合は減少した。

 さらに罹患期間で層別化してサブ解析を行ったところ、罹患期間が短いほどJ-HAQが進行した患者の割合は少ない傾向が、いずれの寛解基準でも見られた。たとえば、Boolean trialsの寛解基準を6回連続で達成した患者の場合、罹患期間が5年以下であれば機能障害の進行はほとんど見られなかったが、罹患率が5年以上になると機能障害が進行した患者は15%に及んだ。

 設楽氏は、「日常診療において機能障害の進行を防止するには、DAS28寛解よりもACR/EULAR寛解基準を用いて、寛解を維持し続けることが重要であることが示唆された」と話した。

 フロアからは、寛解を5〜6回維持し続けている患者群においても、機能障害の進行が10%前後に見られる点について質問が出たが、「それらの患者の多くは70歳以上の高齢者で、年齢的な機能障害まで抑えるのは難しかったと考えられる」と設楽氏はコメントした。

(日経メディカル別冊編集)