東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターの田中栄一氏

 2010年、ACR/EULAR関節リウマチRA)患者の新しい寛解基準を提唱したが、これらは臨床研究のデータに基づき作成されたもので、日常診療における有用性はまだ十分に検討されてない。そこで、日常診療におけるRA患者コホートを用いてACR/EULAR寛解DAS28寛解の違いについて検討したところ、ACR/EULAR寛解の方がより厳しい基準であり、患者全般評価(VAS)や腫脹関節数を改善させることの重要性が明らかになった。4月28日まで東京で開催された第56回日本リウマチ学会(JCR2012)で、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターの田中栄一氏らが発表した。

 対象は、2010年10月に同センターが実施したRA患者の前向き観察研究(IORRA)調査においてDAS28寛解が得られたRA患者2162人(平均年齢55.2歳、女性79%)。

 ACR/EULAR寛解の4つの各基準(Boolean trials、Boolean practice、SDAI、CDAI)を満たした寛解群と、非寛解群に分けて比較検討を行った。

 Boolean trialsの寛解基準を満たす寛解群は、非寛解群よりも有意に高齢で、RA罹患期間は短く、腫脹関節数は少なく、患者および医師全般評価は低く、血沈は高値だった(いずれもP<0.01)。また、寛解群の方がNSADs、MTX、ステロイドの服用率や生物学的製剤使用率も低かった。これらの傾向はBoolean practice、SDAI、CDAIの寛解基準についても同様だった。

 多変量解析によって、ACR/EULARの各寛解を得るための有意な因子を調べたところ、疼痛および腫脹関節数がより少ないこと、患者全般評価がより低いことの3つが有意な因子だった(P<0.001)。

 また分散解析の結果、ACR/EULARの各寛解の達成に寄与度が大きいのは患者全般評価と腫脹関節数の2つだった。この2つの因子による各寛解への寄与度は、Boolean trialsが74%、Boolean practiceが87%、SDAIが68%、CDAIが69%だった。

 田中氏は、「ACR/EULARの寛解基準はDAS28寛解基準よりも厳しい基準であり、これらの違いは主に患者全般評価と腫脹関節数の影響であることが分かった。今後、ACR/EULARの寛解基準を日常診療で使用していく上では、患者全般評価にどのような因子が最も影響を与えているのかを検討することが重要だろう」と語った。

(日経メディカル別冊編集)