静岡リウマチ整形外科リハビリ病院の澤野浩氏

 関節リウマチ(RA)治療の世界的潮流は、「早期からの積極的な治療介入」の時代に入った。インフリキシマブ(IFX)をSteinbrocker病期分類のステージ1から用いると、ステージ2以降に投与開始した場合に比べて臨床的寛解の達成率が有意に高いだけでなく、生物学的製剤を休薬できるバイオフリー寛解、抗リウマチ薬すべてを休薬できるドラッグフリー寛解の達成率も高まる可能性が示された。静岡リウマチ整形外科リハビリ病院の澤野浩氏らの報告で、4月26日から28日まで東京で開催された第56回日本リウマチ学会(JCR2012)で発表された。

 澤野氏らは、最初の生物学的製剤としてIFXを投与したRA患者のうち、150週以上の経過観察が可能だった200例を対象とした。ベースライン時の平均年齢は63.3歳、平均罹病期間は3.5年、DAS28-CRPの平均値は5.1だった。

 これらの患者に対し、メトトレキサート(MTX)4〜16mg/週を併用してIFXを3mg/kgの8週間隔で投与開始した。1〜2カ月ごとにDAS28-CRPを計測し、効果不十分の場合は6mg/kgの8週間隔投与、さらに6mg/kgの4週間隔投与へと順次治療を強化した。また、IFX 3mg/kgの8週間隔投与で6カ月以上寛解が維持できている場合はIFXを休薬し、さらに6カ月間の寛解が維持できればMTXも減量(1カ月ごとに2mg/週ずつ減量)、休薬してドラッグフリーを試みた。

 治療の結果、DAS28-CRPの平均値は、22週目には寛解に相当する2.3未満となり、その状態が最終観察時の150週まで維持されていた。これに伴い、34%の患者が150週時点でIFXの寛解中止に成功し、そのうち6.5%の患者はMTXも休薬してドラッグフリーとなった。寛解以外の理由でIFXを中止した患者の割合は、無効中止が18.5%、副作用中止が7.0%、転院が5.5%、その他が5.0%であり、36.5%の患者はIFXによる治療を継続していた。

 続いて澤野氏らは、ベースライン時に関節破壊が認められなかったステージ1の患者群(S1群、65例)と、既に関節破壊が生じていたステージ2〜4の患者群(S2-4群、135例)とに患者を層別し、両群の疾患活動性の推移を比較した。

 S2-4群はS1群に比べて平均年齢が有意に高く(65.0歳 対 60.0歳、P<0.01)、罹病期間が有意に長かった(4.5年 対 1.5年、P<0.01)。また、S2-4群ではSteinbrocker機能分類のクラスが有意に進行していた(2.1 対 1.2、P<0.01)が、DAS28-CRPをはじめとする他の臨床指標はほとんど変わりなかった。

 治療開始後の平均DAS28-CRPは、S1群では速やかに2.3以下に低下したのに対し、S2-4群は2.5程度にとどまった。150週目における臨床的寛解の達成率は、S1群が83%、S2-4群が52%でS1群が有意に高く(P<0.001)、S1群が寛解達成までに要した平均期間はS2-4群の半分以下だった(3.54カ月 対 8.92カ月、P<0.01)。

 さらに、S1群では45%がIFXフリー寛解、11%がドラッグフリー寛解を達成し、これらを含めたIFX治療継続率は86%に達したが、S2-4群ではIFXフリー寛解は19%、ドラッグフリー寛解は4%で、IFX治療継続率は63%だった。

 以上のように、ステージ1からのIFX投与開始は、ステージ2以降の投与開始に比べて多くの患者をより短期間で寛解に導くことができ、バイオフリー/ドラッグフリー寛解率も高まる可能性が示された。澤野氏は、「早期にIFXの適応を見きわめ、導入を図ることが重要」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)