倉敷廣済病院整形外科の那須義久氏

 関節リウマチRA)の大関節破壊を評価するための新たなスコアである「ARASHI status score」(ASS)は、信頼性のある評価法であり、臨床的評価、機能的評価の各スコアと有意な相関を示すなど有用なスコアであることも示された。倉敷廣済病院整形外科の那須義久氏が、4月26日に東京で開幕した第56回日本リウマチ学会(JCR2012)で発表した。

 今回、那須氏らが解析した対象は、同科で2010年4月から2011年7月に画像が得られた、生物学的製剤を投与中のRA患者100人。人工関節置換術、骨折や臼蓋形成不全などの症例は除外とした。

 平均年齢は63.3歳、男性18例で女性82例。平均罹病期間は11.7年と長期罹病症例が多く、クラス・ステージともに進行例が多かった。

 ASSの評価方法は、肩・肘・股・膝・足関節の計10関節について、関節裂隙狭小化(0-3点)、関節辺縁の骨びらん(0-3点)、関節面の骨破壊(0-6点)、関節安定性(0-4点)の4項目について点数をつけて算出する。1関節当たりの合計(0-16点)のほか、全10関節の合計(0-160点)をその症例の点数とする。

 今回の検討では、ASSによる評価のほか、同じ10関節についてLarsen gradeで評価し、小関節はTotal Sharp Score(TSS)で評価した。さらに、臨床的評価(DAS28-ESR、DAS28-CRP、SDAI、CDAI)、機能的評価(mHAQ)も行った。

 Larsen gradeは古くから用いられており、大関節の評価にも使用されるが、6段階で評価するため、わずかな変化や違いなどは検出しにくい可能性がある。また、TSSは近年の臨床研究でよく用いられているが、評価対象関節が多いほか、手足小関節のみが評価対象となっているのが特徴だ。

 解析の結果、ASSの実測値を見ると、平均値は10.4752点(範囲:0〜49点)だった。肘や膝関節で高値になる症例があったほか、関節裂隙狭小化によるスコアが多い傾向が確認された。

 さらにASSとそのほかの画像評価スコア(Larsen grade、TSS)との相関を調べた結果、ASSはLarsen gradeと強い相関関係を示したほか(rs=0.91、P<0.001)、TSSとも有意に相関していた(rs=0.44、P<0.001)。

 また、ASSについて、疾患活動性を示す臨床的評価スコア(DAS28-ESR、DAS28-CRP、SDAI、CDAI)と機能的評価スコア(mHAQ)との相関を検討したところ、ASSと各スコア間に有意な相関が見られた。

 一方、TSSは罹病期間、mHAQとの相関が確認されたが、臨床的評価スコアとの間に有意な相関関係が見られなかった。また、mHAQについては、ASS、臨床的評価スコアとの間に有意な相関関係が見られた。

 これらの結果から那須氏は、「Larsen gradeとの強い相関が見られることから信頼性がある評価法と言える。さらに、ASSは関節破壊の各要素を加点するという比較的容易な評価法であり、1関節当たり16点で評価できることから詳細な評価が可能で、有用なスコアである」と述べた。

 また、大関節破壊を評価するASSが、小関節を評価するTSSよりも、身体機能評価mHAQとの相関が強かったことから、「RA患者において機能的寛解を目標にする場合は、大関節破壊にも注目する必要があることが示唆される」と語った。

(日経メディカル別冊編集)