大阪市立大学整形外科学の杉岡優子氏

 関節リウマチRA)患者の転倒回数は、健常人との間に有意差が見られないことが示された。大阪市立大学整形外科学の杉岡優子氏らが、4月26日に東京で開幕した第56回日本リウマチ学会(JCR2012)で発表した。

 RA患者では、活動量低下や骨量、筋肉量の低下によって、転倒や骨折を起こしやすいといわれている。また、RAは骨折の危険因子の1つとして報告されている。

 今回、杉岡氏らは、RA患者の転倒に影響を与える因子を明らかにするため、同科で実施している前向きコホート研究「TOMORROW研究」のデータを解析した。同コホート研究は、RAに及ぼすリスク因子を検討するために2010年から開始しているもので、RA患者と年齢、性別をマッチさせたボランティア(対照群)を対象にしたもの。

 今回の解析対象は、RA患者202人と対照群202人の計404人。登録開始から1年間の転倒の有無と回数を確認した。

 患者背景を見ると、過去の転倒歴ではRA群が26.7%、対照群が15.8%となり有意差が見られた。喫煙率についても有意差があり、RA群で29.0%、対照群で14.4%だった。年齢、女性比率、BMIについては有意差はなかった。RA群の平均罹病期間は14.4年、mHAQ(日常生活動作)は0.47、疾患活動性スコア(DAS28-ESR)は3.48で、生物学的製剤を使用している患者は53.9%を占めた。

 解析の結果、1日の平均歩行時間(分)は対照群が69分だったのに対し、RA群は57分と有意に少なかった(P=0.023)。さらに、1日の平均運動時間(分)についても同様の傾向が見られ、対照群は60分、RA群は24分だった。下肢骨量、全身筋肉量、下肢筋肉量については、RA群が対照群と比べ、有意に少なかった。

 一方、1年間に転倒した人の割合は、RA患者は18.3%、対照群は15.8%、平均転倒回数はRA群が1.57回、対照群は1.34回でいずれも有意差はなかった。年代別(49歳未満、50代、60代、70代以上)に転倒割合を検討したが、どの年齢層でも両群間に有意差は見られなかった。

 加えて、転倒の危険因子を多変量解析したところ、過去の転倒歴の有無(オッズ比:2.687、95%信頼区間:1.502-4.808、P<0.001)、60歳以上(オッズ比:1.908、95%信頼区間:1.087-3.351、P=0.025)が抽出された。RAの罹患の有無に有意差は見られなかった。

 重回帰分析でRA患者の転倒回数に影響を与える因子を検討したところ、1日の歩行時間のみが有意な因子となり、1日の歩行時間が長いRA患者では転倒回数が増加することが分かった。

 杉岡氏は、歩行時間の増加に伴い、RA患者で転倒回数が増えるという報告があることを紹介した上で、「今回の結果は歩行時間の差が転倒率に影響した可能性が考えられる。転倒には、内因性、外因性など様々な要素が含まれるため、これらの要素を考慮した上で長期的に解析していきたい」と語った。

(日経メディカル別冊編集)