名古屋大学整形外科の舟橋康治氏

 関節リウマチ(RA)治療に日本でインフリキシマブ(IFX)が使用可能となってから8年が経過し、長期投与成績の集積が進んでいる。また、2009年7月には増量および投与間隔短縮が認められ、新たな用法・用量でのデータの蓄積も始まっている。名古屋大学整形外科を中心とした多施設共同生物学的製剤研究グループのTBC(Tsurumai Biologics Communication)では、同グループのデータベースに登録されたIFX長期投与例と増量/投与間隔短縮例の最新の成績をまとめた。7月20日まで神戸で開催された日本リウマチ学会(JCR2011)で、名古屋大学整形外科の舟橋康治氏が報告した。

 舟橋氏らは、TBCデータベースに登録されたRA患者のうち、最初の生物学的製剤としてIFXを投与された患者496人から、5年以上に渡りIFXが継続投与された57人について、投与状況や経過などを報告した。

 57人のIFX導入時の背景は、女性比率75.4%、平均年齢58.2歳、平均罹病期間11.68年だったが、IFXが日本初の生物学的製剤としてRA治療に使用可能となった2003年頃の同薬の処方動向を反映し、Stage分類でIIIが29%、IVが47%と比較的進行した患者が多くを占めていた。

 これらの患者のDAS28-CRPは、IFX導入14週時点ですでに有意に低下していた(p<0.01)。DAS28-CRPは、その後も年を追うごとに低下し、2年時点には14週時点と比較してもさらに有意に低下しており、5年時点においては、DAS28-CRPが3.0を下回っていた。

 DAS28-CRPが低下した患者はその後再燃せず、5年時点で低疾患活動性(DAS28-CRPが2.7未満)または臨床的寛解(DAS28-CRPが2.3未満)となった患者の割合は48.6%と良好だった。なお、57人中6人が追跡期間中に整形外科的手術を施行されていたが、これはTBCに登録された他の生物学的製剤投与例に比べても多くはない印象だったという。

 追跡期間中にIFXの増量や投与間隔の短縮が行われた患者は57人中22人で、IFXの平均投与量(点滴1回当たりの投与量)は161.8mgから243.1mgに増加していた。一方で、メトトレキサート(MTX)の投与量は変わらなかったが、プレドニゾロンについては有意に減量していた(p<0.01)。

 これらの結果から、57人の患者で5年以上に渡って有効性を維持できた要因として、IFXの増量/投与間隔短縮が寄与していることが示唆された。

 また、舟橋氏らは、同TBCデータベースからの解析として、IFX継続投与5年未満の患者も含めたIFX増量/投与間隔短縮例における解析結果についても紹介している。

 TBC参加施設においてIFXの増量を行った患者(増量群)は88人、投与間隔を短縮した患者(短縮群)は91人だった。短縮群では増量群に比してリウマトイド因子陽性例が多く(86.70% 対 68.20%、p=0.018)、DAS28-ESRが高かった(6.08 対 5.82、p=0.037)。また、StageやClassの進行した患者の割合がやや高かった。

 両群ともIFX導入後14週時点でDAS28-CRP、-ESRの有意な低下を認めたが、その後徐々に上昇を来していた。増量/投与間隔短縮後のDAS28-CRP、-ESRは、増量群、短縮群とも増量/投与間隔短縮直前に比べ有意に低下し(ともにp<0.01)、最終観察時(増量群:増量から平均295.33日後、短縮群:短縮から平均499.10日後)においても有意な低下が維持されていた(ともにp<0.01)。

 最終観察時におけるIFX継続率は、増量群56.8%、短縮群57.1%とほぼ同等だったが、平均追跡期間が異なるため、カプラン・マイヤー法により生存曲線を作成して比較したところ、短縮群の方が継続率は有意に良好であった(p=0.036)。

 以上の結果より、IFX 3mg/kgの8週間隔投与で効果不十分な患者に対する増量/投与間隔短縮は、いずれも効果を回復させる有用な手段となることが示された。またIFXの増量に比べて、投与間隔短縮の方がやや継続率が優っていることが示唆された。

 なお、本研究は後ろ向きの解析であることや、TBCに参加している施設間で増量/投与間隔短縮の基準が統一されていないこと、増量の単位が体重kg当たりの換算用量ではなくバイアル単位(100mgごと)でなされているケースもあること、投与間隔の短縮は4〜7週とばらつきがあることなど不確実な要素も残されている。

 舟橋氏は、「3mg/kgの8週間隔投与という設定は妥当なのかどうかという点も含め、IFXの至適な用法・用量を探っていきたい」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)