産業医科大学第一内科学講座の福與俊介氏

 関節リウマチ(RA)の治療に用いられる生物学的製剤には静注製剤と皮下注製剤があり、静注製剤は点滴であるため投与に時間がかかる。その1つであるインフリキシマブ(IFX)は2時間以上かけた点滴が推奨されてきたが、その理由は投与時反応への懸念であった。しかし、この点滴時間を短縮することができれば、点滴に使用する診療スペースの効率化にも有用である。産業医科大学第一内科学講座の福與俊介氏らは、IFXの点滴時間を段階的に30分にまで短縮しても、2時間点滴の場合と忍容性が変わらないことを明らかにし、7月20日まで神戸で開催された日本リウマチ学会(JCR2011)で報告した。

 福與氏らの施設が取り組んでいるIFXの点滴時間短縮プロトコールは、投与時反応を認めることなく、点滴時間2時間で6回投与できた症例は1時間に短縮(溶解液は250mLから100mLに変更)、さらに点滴時間1時間で6回投与できた症例は30分に短縮するというもの。

 本研究では、同施設で2003年8月〜2008年9月に2時間でのIFX点滴が行われた患者(2時間点滴継続群)231人と、2008年10月〜2011年3月の間に上記のプロトコールに沿って点滴時間の短縮が行われた患者(点滴時間短縮群)226人を対象に、投与時反応の発現率と疾患活動性を比較した。いずれの群もメトトレキサート(MTX)が6mg/週以上併用されており、IFX点滴前にイブプロフェン200mg、ベポタスチン10mgの投与が行われた。

 患者背景は、2時間点滴継続群に比べ点滴時間短縮群でMTX投与量が多く、ステロイド内服率が低く、RA罹病期間が短かったが(すべてp<0.001)、年齢、性別、圧痛関節数や腫脹関節数、疾患活動性に違いは認められなかった。

 点滴時間短縮群で7回目以降に点滴時間を1時間に短縮した患者は131人、13回目以降に投与時間を30分に短縮した患者は77人だった。

 IFX総投与回数に占める投与時反応の発現率は、投与7〜12回目では2時間点滴継続群0.7%(4/570)、点滴時間短縮群0.53%(4/756)、投与13〜18回目ではそれぞれ0.67%(2/299)、0.58%(2/342)で、点滴時間を1時間あるいは30分に短縮しても2時間点滴を継続した場合と有意差がなかった。

 投与時間短縮群における投与時反応は、1時間点滴では4回目までに、30分点滴では1回目に発現する傾向が認められた。また、投与時反応が発現した6人の症状(皮疹、発熱、悪心)はいずれも軽微で、点滴時間を元に戻すことでIFXの投与を継続できた。

 一方、疾患活動性については、1時間点滴の期間も30分点滴の期間も、2時間点滴継続群と点滴時間短縮群の間でDAS28-ESRの変化量に有意差を認めなかった。

 以上の検討から福與氏は、同施設のプロトコールを用いればIFXの投与時間を安全に短縮できると述べた。

(日経メディカル別冊編集)