北里大学膠原病感染内科の手嶋智子氏

 関節リウマチ(RA)の炎症に関わる因子(炎症性メディエーター)として、TNFαIL-1IL-6などに加え、最近ではIL-17の関与が注目されている。そこで北里大学膠原病感染内科手嶋智子氏らは、ヒト単核球の増殖やサイトカイン産生に生物学的製剤が及ぼす影響を検討し、TNFα阻害薬であるエタネルセプト(ETN)やインフリキシマブ(IFX)は単核球に作用してIL-17産生を阻害することを明らかにした。研究成果は、7月17日から20日まで神戸で開催された日本リウマチ学会(JCR2011)で報告された。

 現在、日本では、TNFα阻害薬のETN、IFX、アダリムマブ(ADA)、抗IL-6受容体抗体のトシリズマブ(TCZ)、抗原提示細胞・T細胞共刺激シグナル阻害薬のアバタセプト(ABT)の計5剤の生物学的製剤がRA治療に用いられているが、IL-17を阻害する薬剤はまだない。しかし、IL-17を産生するヘルパーT細胞17(Th17)の活性化にはIL-6が大きく関わっていることから、TCZはIL-17を抑制して治療効果を発揮する可能性が考えられている。手嶋氏らは今回、ヒト単核球、T細胞のIL-17産生にETN、IFX、TCZが及ぼす影響をin vitroで検討した。

 健康ドナーから採取したヒト末梢血単核球(PBMC)をSEB(staphylococcal enterotoxin B)、各薬物存在下で培養し、細胞増殖、サイトカイン産生を測定した。また、採取したPBMCを、磁気細胞選別法を用いてCD4陽性T細胞をpositive selection、単球をnegative selectionした。CD4陽性T細胞は固相化CD3抗体、各薬物存在下で培養後、細胞増殖、サイトカイン産生を測定した。単球はSEB、各薬物存在下で培養後、表面抗原(CD80、CD86、HLA-DR)を測定した。

 細胞増殖はMTTアッセイ、サイトカイン産生はELISA法、細胞表面の抗原はフローサイトメトリー法で測定し、群間差はWilcoxon signed-rank testを用いて検定した。

 SEBで刺激したPBMCの増殖はETNまたはIFXによって有意に抑制された。ETNはIL-17、IL-6、IFNγ産生を、IFXはIL-17、IFNγ産生を有意に抑制したが、TCZは細胞増殖もサイトカイン産生も抑制しなかった。

 固相化CD3抗体で刺激したCD4陽性T細胞の増殖やサイトカイン産生には、どの生物学的製剤も有意な影響を及ぼさなかった。

 また、PBMCをTNFαおよびIL-6で刺激した場合でも、ETNとIFXはPBMCの細胞増殖、IL-17産生、IFNγ産生を有意に抑制したが、TCZは抑制しなかった。

 SEBで刺激した単球においては、ETNとIFXはCD80、CD86、HLA-DR発現を抑制したが、TCZは大きな影響を及ぼさなかった。

 以上の検討から手嶋氏は、TNFα阻害薬は単球に作用してT細胞のIL-17産生を抑制していると考えられるが、IL-6受容体抗体はPBMCの増殖やIL-17産生には影響を及ぼさないと結論した。

(日経メディカル別冊編集)