JA山口厚生連長門総合病院整形外科の谷泰宏氏

 高齢で発症したRA患者に対して、薬物治療をあきらめてはいけないとする報告があった。JA山口厚生連長門総合病院整形外科谷泰宏氏らが、7月20日まで神戸で開催された日本リウマチ学会(JCR2011)で発表した。

 谷氏らは、高齢発症のRA患者にタイトコントロールは可能か、との問いに対する答えを求めて検討を加え、厳密な投薬管理下でのタイトコントロールは可能とする結論に至った。

 JA山口厚生連長門総合病院整形外科では、定期的に圧縮、腫脹、VAS、CRP(ESR)、M-HAQ、身体所見などを評価しながら、以下の3つのポイントに沿って治療方針を決めている。ポイント1は、診療と同時にDMARDsを開始すること。前提条件としては、服薬方法、合併症について患者に十分に情報を提供し、投与初期のスクリーニングを厳重に行うことを挙げている。ポイント2では、内服ステロイドは必要最低限にし、初期の疼痛には関節注射などで対応するとしている。これは、合併症や副作用予防につながる。ポイント3では、タイトコントロールに取り組むことが重要としている。適宜、DMARDsの増量、変更、追加を検討するとしている。症例によっては、生物学的製剤も考慮する。

 今回の報告では、タイトコントロールまで至った高齢発症のRA患者16人(男性9人、女性7人)について、治療結果を報告した。発症時の年齢は、平均78.6歳(74-91歳)だった。治療開始時のDAS28(ESR)は4.96(3.66-6.74)、RA疾患活動性は、Lowが2例、Moderateが6例、Highが8例だった。腎機能(eGFR)は平均64.3(33.6-98.7)、既往症は高血圧7例、糖尿病1例、脂質異常症3例、心疾患2例、腎機能障害1例、胸膜炎2例だった。

 治療の結果、治療開始24週時点で、SASP単独治療中の4例中Remissionが3例、Lowが1例だった。SASP治療にMTXを追加した3例では、Remissionが2例、Highが1例だった。一方、MTXによる治療中の9例では、Remissionが6例、Lowが2例、Moderateが1例だった。結論として、全例でRA活動性をコントロールできる状態に至っていた。

 今回の検討で演者らは、高齢で発症したRA患者にタイトコントロールを適応する条件を以下のようにまとめた。(1)合併症の治療状態が良好である(特に糖尿病の管理状態は重要)、(2)重篤な肺疾患が存在しない、(3)腎機能が維持されている、(4)リウマチに対する理解がある程度できている、(5)服薬コンプライアンスが良好(例えば訪問看護などの活用で実現)、(6)自己の健康状態が把握できる、(7)体調不良時に速やかに医療機関の受診が可能、(8)家族の協力が得られる。

 演者らは、「年齢だけで治療をするかしないかの線引きはするべきではない」との前提に立ち、社会背景やADL、QOLを常に配慮し、高疾患活動性の持続は短期でADLを悪化させることを念頭に置いて患者自身の目標や希望を治療に反映させるべきと結論した。その上で、高齢発症のRA患者であっても、厳重な投薬管理を行いながらタイトコントロールを行うべきであると指摘した。

(日経メディカル別冊編集)