新潟県立リウマチセンターリウマチ科の伊藤聡氏

 関節リウマチ(RA)に対するインフリキシマブ(IFX)の投与については、2009年7月から増量と投与間隔の短縮が認められた。新潟県立リウマチセンターリウマチ科伊藤聡氏らは、自施設のRA患者を対象とした調査を実施し、効果不十分例に対するIFX増量や投与間隔の短縮は、およそ3分の2の患者で有効だったこと、無効例では増量/投与間隔短縮時のCRP高値の患者が多いことなどを明らかにした。7月17日から20日まで神戸で開催された日本リウマチ学会(JCR2011)で報告した。

 対象は2009年7月以降にIFXの増量または投与間隔短縮を行ったRA患者47人(平均56.5歳、女性72.3%、RA罹病期間11.6年)で、2009年7月以前のIFX投与回数は7.3回、投与量は191.3mg、メトトレキサート(MTX)投与量は7.7mg/週、プレドニゾロン投与量は4.6mg/日だった。また、DAS28-ESRは3.6、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-3値は195.9ng/mL、CRP値は1.3mg/dL、赤血球沈降速度(ESR)は41.7mm/hだった。

 対象患者47人のうち、IFXの増量が行われたのは27人、投与間隔を短縮したのは5人、増量と投与間隔の短縮を併せて行ったのは15人だった。IFXの投与量は、増量/投与間隔短縮の開始後、2回目の投与時には約320mgに、5回目の投与時には約350mgに増加した(平均値)。なお本研究はレトロスペクティブ解析で、一定の増量、投与間隔短縮プロトコルには則っておらず、IFX投与量も最高用量まで増量したわけではなかった。

 IFX増量/投与間隔短縮による有効例は30人(寛解中止2人を含む)、他剤変更例は11人、有害事象による中止例は6人だった。重篤な副作用としてMTX肺炎、投与時反応、ニューモシスチス肺炎が1人ずつ認められ、その発現率は6.2%であった。

 IFX投与により疼痛関節数(TJC)、腫脹関節数(SJC)、DAS28-ESR、リウマトイド因子(RF)、MMP-3、CRP、ESRはいずれも投与前に比べ有意に低下した。IFXの増量/投与間隔短縮開始時と最終投与時の比較でも、SJC、MMP-3が有意に低下した。TJC、DAS28-ESR、RF、CRP、ESRは低下したものの有意ではなかった。

 また、増量/投与間隔短縮が行われた後は、高・中等度疾患活動性の患者が減り、寛解または低疾患活動性の患者が増加する傾向が認められた。

 さらに、増量/投与間隔短縮の無効例11人と有効例30人について、増量/投与間隔短縮開始時の背景を比較したところ、無効例ではCRP値が2.6mg/dLと、有効例の0.9mg/dLに比べて有意に高かった。また、治療強度の指標として投与量係数(1回当たりのIFX投与量を体重と前回投与日からの経過日数で割った値)を求めたところ、無効例では有効例に比べて2009年7月以降の投与量係数が高かったが、その差に有意差が認められたのは5回目の投与時以降であった。

 これらの結果を踏まえて伊藤氏は、IFXの増量や投与間隔の短縮は、疾患活動性が上昇した場合、可能な限り早期に行うべきとした。また、どの時点で他剤に変更するのかについては、今回の検討ではIFXを最高用量まで投与したわけではないため、今後の検討が必要だと述べた。

(日経メディカル別冊編集)