北海道大学大学院医学研究科内科学講座第二内科の大友耕太郎氏

 関節リウマチ(RA)に対するインフリキシマブ(IFX)の高用量投与の有効性と安全性は、RISING試験によって確認されている。しかし、実地臨床における増量の判断は担当医に委ねられている。こうした中、北海道大学大学院医学研究科内科学講座第二内科大友耕太郎氏らは、疾患活動性に応じた増量プロトコールを作成。これに従った増量により、良好な効果と忍容性が得られたことを、7月20日まで神戸で開催された日本リウマチ学会(JCR2011)で報告した。

 大友氏らが作成したプロトコールは、BeSt試験の増量法に倣ったもの。第0、2、6週目にIFX通常用量(3mg/kg)を投与後、14週間後にDAS28<3.2を達成できなければIFXを6mg/kgに増量した。それでも目標未達成なら2〜4カ月ごとに7.5mg/kg、次いで10mg/kgに増量。さらに、投与間隔を8週から4週に短縮して6mg/kgを投与した。DAS28<3.2を達成できた場合は順次減量を行い、IFXの休薬を目指した。
 
 同氏らは、このプロトコールを導入した2009年以降にIFX治療を開始したRA患者と、それ以前の患者のデータをレトロスペクティブに解析し、治療継続率と有効性、安全性を比較検討した。

 対象は、2003年以降に大友氏らの施設でIFX治療を開始したRA患者90人。うち、転院などの理由により半年未満で追跡から離脱した13人を除く77人を、増量プロトコール導入後(2009年以降)に治療を開始した群と、それ以前にIFX治療を開始した群とに分け、患者背景が揃うように増量群(n=19)と対照群(n=22)を抽出した。

 大友氏らは、両群の治療22週目、54週目の有効性と、治療合併症による中止率、無効による中止率を比較した結果、対照群では、22週目で約45%の患者が低疾患活動性〜寛解を達成していたが、54週目にはやや減少して40%を下回った。これに対し、増量群では22週目で70%近くの患者が低疾患活動性〜寛解を達成。54週目にはさらに増加して80%を上回った。さらに、寛解基準をCDAI<2.8やSDAI<3.3とすると、54週目の寛解率は、対照群ではCDAI、SDAIともに20%以下であった。これに対し、増量群ではともに50%を上回っており、両群の寛解率の違いは統計的にも有意だった(p<0.05)。

 また、両群の1年継続率は、対照群で約70%、増量群では約90%と、増量群の方が良好だった。特に、対照群で22週目よりみられた2次無効例は、増量群の22週目には全くみられなかった。一方、安全性やステロイドの使用率については、両群間に有意な差は認められなかった。

 増量群における54週目時点でのIFX投与量は、3人が6mg/kg(8週間隔)、2人が10mg/kg(8週間隔)、2人が6mg/kg(4週間隔)であり、3mg/kg(8週間隔)でコントロールできていたのは、低疾患活動性維持により休薬した患者を含めて11人(57.8%)だった。特に、10週時点における疾患活動性が低疾患活動性(DAS28<3.2)だった場合は、約70%の患者が増量不要だった。

 これらの結果より、疾患活動性に応じたIFX増量法は忍容性に優れた有用な治療法であると考えられた。また、IFX導入後1年間における増量の要否は、10週時点の疾患活動性によってある程度予測できることが示唆された。ただし、このプロトコールの下で増量によって対応できる症例と完全なnon-responderを見極めるには、約半年が必要となることから、より早期に判定する方法の確立が必要だと考えられた。

(日経メディカル別冊編集)