藤田保健衛生大学病院リウマチ感染症内科の岩破由実氏

 関節リウマチRA)患者に対するインフリキシマブ(IFX)の増量投与が可能になってから2年が経過し、実地臨床の場でもIFX増量症例のデータが蓄積されつつある。藤田保健衛生大学病院リウマチ感染症内科岩破由実氏らの検討では、IFXの増量が可能となったことで、無効による中止例が減少している可能性が示された。7月20日まで神戸で開催された日本リウマチ学会(JCR2011)で報告された。

 岩破氏らは自施設でIFX投与を受けたRA患者を、(1)IFXの増量投与が承認された2009年7月より前にIFX投与が中止された患者(第1群:n=30)、(2)2009年7月以前からIFX投与を受けており、それ以降も継続して投与されていた患者(第2群:n=26)、(3)2009年7月以降にIFX投与が開始された患者(第3群:n=16)に分け、患者背景の違いや、IFX増量の有効性について検討した。

 第1群は平均罹病期間が13.6年と長く、高疾患活動性の患者が80%を占めたが、第2群では平均罹病期間が10.2年、高疾患活動性の患者は57.7%、第3群では各々6.6年、37.5%となり、「早期からの生物学的製剤導入」という治療戦略が浸透してきたことがうかがえた。

 第2、第3群を合わせた42人のうち、IFXを増量した患者(増量群)は17人、増量を必要としなかった患者(非増量群)は25人であった。このうち、IFX投与を中止した患者は12人(増量群、非増量群ともに6人)であり、カプランマイヤー法による分析で求めた2年継続率は76.5%で、日本の全国平均とほぼ同等の成績だった。

 第2、第3群では、無効を理由に中止された患者は5人(12%)で、増量ができなかった時期に投与が中止された第1群に比べると大幅に低かった。第1群と第2、第3群では患者背景がかなり異なるため、両者を一概に比較することはできないが、岩破氏は「IFX増量により、無効による中止が減少したのではないか」との見解を示した。

 その一方で岩破氏は、「5人の患者は、IFXを増量しても無効のため中止しており、増量以外の治療が必要な症例も存在することが示唆された。今後は、増量で対処できる症例とそうでない症例を見極める方法の確立が求められる」とした。

(日経メディカル別冊編集)