東京女子医大膠原病リウマチ痛風センターの田中栄一氏

 日本人RA患者の冠動脈性心疾患CHD)の罹患率は、10万人年当たり201.5人と、一般住民よりも高率であることが示された。東京女子医大が進めている大規模コホート試験IORRAによる成果で、東京女子医大膠原病リウマチ痛風センター田中栄一氏らが、7月20日まで神戸で開催された日本リウマチ学会(JCR2011)で発表した。

 IORRAは、2000年10月にスタートしたJ-ARAMISを起点とする観察研究で、2006年4月からIORRAと改称し今日に至っている。東京女子医大膠原病リウマチ痛風センターが実施主体で、同センターを受診したRA患者を対象に前向き観察研究に取り組んでいる。研究では、患者情報、医師の評価、臨床検査データなどのデータベースを構築し、専門的な統計解析を行っている。2000年10月にスタートしてから、年2回の観察研究を実施。これまでに22回目の検討に至っている。毎回、5000人規模のRA患者の情報を集積しているが、常に98%以上もの回収率を達成している。

 今回、田中氏らは、日本国内でのRA患者のCHD罹患率を明らかにするため、2000年から2008年までにIORRA研究に1度でも参加したことのあるRA患者8699人を対象に検討を行った。半年ごとに行っているIORRA調査で、患者の自己申告に基づいて、狭心症や急性心筋梗塞などのCHDイベントの記載があった症例を抽出した。イベントについては、カルテ情報で確認を行った上で解析に入った。なお、過去にCHD既往があった症例は対象外としている。

 10万人年当たりの新規発症のCHDについて、年齢調整罹患率を求めたところ、CHD全体では男性が298.7、女性が108.8、計201.5となり、他の日本人コホート研究に比べて高率であることが分かった。急性心筋梗塞に限ると、男性169.3、女性42.3、計104.3とやはり高率だった。例えば、急性心筋梗塞の10万人年当たり年齢調整罹患率は、最近の日本人の住民コホートでは男性が40〜100、女性が5〜30程度と報告されている。一方、欧米の住民コホートでは、男性200〜500、女性60〜150と報告されており、欧米に比べると低率であることが明らかになった。

 これらの結果から演者らは、「これまでの欧米の調査結果と同様、日本人のRA患者においても、RAであることがCHD発症の重要なリスクであることが示唆された」と結論した。

 なお、田中氏らは今学会で、同様の解析に基づき、CHD発症にかかわるリスク因子も検討し、RA疾患活動性が独立した因子であることを報告している。また、高血圧、脂質異常症、喫煙などの古典的とされるリスクも、日本人RA患者におけるCHD発症の有意なリスクであることも確認している。これらのことから、RA患者の長期予後を改善するためには、RA疾患活動性をコントロールするだけでなく、古典的な心血管リスク因子の管理をきちんと行うことも重要であると指摘している。

(日経メディカル別冊編集)