慶応大学リウマチ内科の金子祐子氏

 RA疾患活動性ビジュアルアナログスケール(VAS)で評価した場合、医師は改善度を過大評価し、一方、患者は過小評価する傾向があることが分かった。慶応大学病院が取り組んでいるSAKURA Studyの成果の1つで、慶応大学リウマチ内科の金子祐子氏らが、7月17日から20日まで神戸で開催されている日本リウマチ学会(JCR2011)で発表した。

 金子氏らは、患者が全身の状態を自己評価する患者全般VASと、医師が治療に利用する医師VASの間に、しばしば乖離が認められることに着目。両者のギャップを生む要因は何なのかを検討した。

 対象は、SAKURA Studyの登録患者。SAKURA Studyは、慶応大学病院が取り組んでいるもので、2007年8月以降に同病院を受診し、1987年ACR分類基準または1994年JCR早期基準を満たした新規未治療RA患者を対象とする観察研究。今回の検討は、診断から12カ月観察した患者について、12カ月時点における患者全般VASと医師VASの不一致度を明らかにし、その要因を分析した。

 今回の観察した患者は74人。患者VASと医師VASの差が20mm以上を不一致群、20mm未満を一致群とし、両群の背景因子、疾患活動性、寛解率などについて検討した。

 その結果、患者74人の背景は、女性が65人(88%)、年齢が62歳(中央値)だった。また、罹病期間は1カ月未満が20%、1〜3カ月が24%、3〜6カ月が25%、6〜12カ月が11%、12カ月以上が20%だった。

 診断時の不一致群は46人で、不一致率は62%と高率だった。一致群は25人だった。診断時の臨床的な特徴は、両群に差はなかった。しかし、12カ月時点では、DAS28(不一致群3.4 対 一致群2.3、p<0.001)、DAS28(3)(3.4 対 2.4、p<0.001)、HAQ(0.7 対 0.4、p=0.002)、疼痛VAS(36 対 11、p<0.001)などで、不一致群で有意に高値だった。

 診断時からの変化をみると、DAS28やHAQでは、不一致群が一致群より改善度が低い傾向が見られた。また、患者VASは、不一致群で改善が見られなかったのに対し、医師VASでは不一致群、一致群ともに改善しており、改善度に両群で差は見られなかった。

 これらの結果から演者らは、「診断後12カ月時点の医師のVASと患者のVASが一致しない要因としては、疾患活動性やHAQ、疼痛VASが高いことが抽出された」と結論。その上で、「VASで評価する際、DAS28、DAS28(3)を基準とすると、医師は改善度を過大評価し、患者は過小評価する傾向があることが分かった」とした。

(日経メディカル別冊編集)