昭和大学リウマチ膠原病内科の三輪裕介氏

 関節リウマチRA)に対する生物学的製剤治療の普及で、治療目標は臨床的寛解から画像的寛解・機能的寛解を含めたものに移行しつつある。だが、機能的寛解を得られる患者の背景因子について検討した研究は少ない。そこで昭和大学リウマチ膠原病内科の三輪裕介氏らは、生物学的製剤による治療開始時の患者背景から、HAQ(health assessment questionnaire)寛解に至る因子を検討。その結果を、7月20日まで神戸で開催されていた日本リウマチ学会(JCR2011)で報告した。

 今回、三輪氏が対象とした患者は、RAと診断され生物学的製剤を投与した75人(うち女性61人)。生物学的製剤の内訳は、インフリキシマブが33人、エタネルセプトが11人、トシリズマブが14人、アダリムマブが17人だった。HAQ寛解は、投与開始12週後の評価で、HAQが0.5以下になった症例と定義した。

 HAQ寛解に至った寛解群は56人、非寛解群が19人だった。この2群について、生物学的製剤投与開始時の年齢、性別、ステロイド使用量、疾患活動性の評価指標としてDAS28-ESR4、QOLの評価指標としてHAQおよびSF-36、抑うつ状態の評価指標としてハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)とSelf-rating Depression Scale(SDS)を比較した。

 その結果、年齢(寛解群52.9歳 対 非寛解群62.1歳、p=0.014、以下同様)、投与開始時のステロイド使用量(3.4mg 対 5.6mg、p<0.001)、投与開始時のHAQ(0.32 対 1.05、p=0.013)、SF-36(8評価指標全てでp<0.05)、投与開始時のSDS(39.5 対 44.2、p=0.04)、投与開始時のHAM-D(5.3 対 8.1、p=0.025)、12週後のDAS28(2.55 対 3.76、p<0.001)について、2群間で有意差が認められた。一方、性別、投与開始時のDAS28(4.81 対 5.46)については、有意な差は見られなかった。

 三輪氏は、「生物学的製剤でHAQ寛解を得る予測因子は、若年、ステロイド使用量が少ないこと、QOLが良いこと、抑うつ状態が強くないことだった。また投与開始12週後の疾患活動性で有意差を認めたことから、臨床的な有効性の上にHAQ寛解があることが推察された。今後さらに観察期間を延ばし検討したい」と話している。

(日経メディカル別冊編集)