学会新基準検証委員会委員で東京医科歯科大学大学院の針谷正祥氏

 2010年に提唱されたACR/EULARの新しいRA分類基準を日本人患者のコホートに適用して感度・特異度などを検討した結果、従来の1987年の分類基準に比べ特に感度で優れていたが、血清反応陰性例や罹患関節点数が低値の症例ではRAに分類されにくいことが明らかになった。7月17日から20日まで神戸で開催されている日本リウマチ学会(JCR2011)で、同学会新基準検証委員会委員で東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科薬害監視学講座の針谷正祥氏が、その詳細を発表した。

 今回の検討が行われたコホートは、早期関節炎を対象とした慶應早期関節炎コホート(対象患者:313人、慶應義塾大学)および長崎早期関節炎コホート(200人、長崎大学)、確定したRAを対象とした東京女子医科大学RA患者コホート(88人)および国立相模原病院RA患者コホート(40人)、治療されているRA患者を対象としたREALコホート(119人、東京医科歯科大学)の5つ。それぞれ独立して、新基準の感度・特異度を含めた、日本人関節炎患者における新基準適用の妥当性を検証した。

 詳細は別項に譲るが、早期関節炎を対象とした2つのコホートから、新基準の感度は74〜76%、特異度は71.4〜70.0%、陽性尤度比も2.6と、その分類能は良好だった。また、既に治療を受けているRA患者の3コホートにおける初診時データでは、びらんを含めた場合の新基準の感度は80〜87%となった。

 このように5つすべてのコホートで、従来の1987年の基準に比べ、その感度は優れていることが確認された。ただし同時に、血清反応陰性例や罹患関節点数が低値の症例では、RAに分類されにくいことも判明した。

 新基準では、1関節以上の滑膜炎があり他疾患ではより良く説明できない場合に、スコアリングを行ってRAかどうかを判断するという手順になっている。つまり新基準を使うには、鑑別診断の知識が求められていることになる。そこで本委員会では、RAと鑑別すべき代表的な疾患について、鑑別時の難易度に合わせ高・中・低の3群に分けたリストを作成した。

 頻度が高くスコア偽陽性の確率も高いことから難易度が「高」とされた疾患は、(1)ウイルス感染に伴う関節炎(パルボウイルス、風疹ウイルスなど)、(2)全身性結合組織病(シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、皮膚筋炎・多発性筋炎、強皮症)、(3)リウマチ性多発性筋痛症、(4)乾癬性関節炎の4疾患がリストアップされた。

 頻度は中等または高いが、スコア偽陽性の可能性は比較的低いことから難易度が「中」とされた疾患は、(1)変形性関節症、(2)関節周囲の炎症(腱鞘炎、腱付着部炎、肩関節周囲炎、滑液包炎など)、(3)結晶誘発性関節炎(痛風、偽痛風など)――など7項目が挙げられた。

 一方、頻度もスコア偽陽性になる可能性も低く、鑑別難易度が「低」とされた疾患は、(1)感染に伴う関節炎(細菌性関節炎、結核性関節炎など)、(2)全身性結合組織病(リウマチ熱、再発性多発軟骨炎など)、(3)悪性腫瘍(腫瘍随伴症候群)、(4)その他の疾患(アミロイドーシス、感染性心内膜炎、複合性局所疼痛症候群など)の4項目となっている。

 針谷氏は「スコアリング適用前に、これらの疾患を除外することが大切」と強調し講演を終えた。

(日経メディカル別冊編集)