青森県立中央病院リウマチ膠原病内科の金澤洋氏

 昨年発表されたACR/EULARによる新しい関節リウマチ(RA)分類基準を、わが国の臨床現場でどう活用していくべきか――。7月17日から神戸で開催されている日本リウマチ学会(JCR2011)では、多くの施設から新基準に関する検討結果が発表された。青森県立中央病院リウマチ膠原病内科の金澤洋氏らは、関節症状出現1年以内の早期患者を対象とした検討から、「関節所見を正確に診断することが要求され、大関節に症状がある患者や血清学的所見が陰性の患者ではやや限界がみられるものの、早期診断を目的とした新基準は有用」と結論した。

 今回、金澤氏が検討対象とした患者は、2008年1月〜2010年6月に、出現から1年未満の関節症状を主訴として同科外来を受診した207人。ステロイドや抗リウマチ薬の治療歴のある患者は除外した。被験者を、(1)関節の腫脹がないNA群(85人)、(2)関節の腫脹所見が見られた、もしくは初診時にはなかったが経過や検査結果からRAが疑われたIA群(48人)、(3)RAと診断し治療を開始したRA群(74人)――の3群に分類し、新基準による判定と臨床診断とを比較した。

 この3群間に、年齢や性別で大きな差は見られなかった。新基準の各項目をみると、罹患関節のスコアはIA群1.25、RA群2.36、血清学的因子(抗CCP抗体、リウマチ因子)のスコアはNA群0.76、IA群1.31、RA群2.27、急性相反応物質(CRP、ESR)の陽性率はNA群21.2%、IA群75.0%、RA群86.5%、罹病期間は3群でほぼ同等で、全体のスコアはNA群1.68±1.50、IA群3.98±1.18、RA群6.31±2.07となった。

 新基準ではスコア6点以上でRAと診断できる。今回の集団に当てはめると、感度64.3%、特異度96.7%、陽性的中率93.3%、陰性的中率78.9%になった。

 除外診断としてNA群では、関節症状があり抗CCP抗体またはリウマチ因子が高値だったが、最終的に癌と診断されたケースが数例あった。またIA群では、SLE、反応性関節炎、偽痛風などが含まれていた。

 当初はIA群だったが経過観察中にRAと診断された症例では、罹患関節のスコアが上昇して合計6点以上になったケースがほとんどだった。一方、スコアでは6点未満だったが臨床的にRAと診断した症例では、抗CCP抗体やリウマチ因子が低値という例が多かった。その中には大関節の所見のみだったケースが数例あった。

 これらの検討から金澤氏は、新基準を使うに当たり、関節症状を主訴とする疾患に精通し、関節所見を正確に診断できる必要があるほか、膝や足首などの大関節罹患患者や血清学的陰性の患者では6点以上にならない例が多いことを指摘。その上で、初診時には基準を満たさなくても経過観察中に基準を満たす例が存在したことから、早期診断・治療介入において、新基準の有用性が示されたと結論した。

(日経メディカル別冊編集)