日本リウマチ友の会会長の長谷川三枝子氏

 約1万5000人の関節リウマチ(RA)患者を対象とした患者会の大規模調査から、生物学的製剤を使用している患者の3分の2が医療費の負担に不安を感じており、その半数は生活費を切り詰めて治療を続けていることが明らかになった。日本リウマチ友の会会長の長谷川三枝子氏が、7月17日から20日まで神戸で開催されている日本リウマチ学会(JCR2011)で報告した。

 生物学的製剤は、RAの疾患活動性を低下させ、骨破壊の進行を抑制する強力な治療手段として患者のQOL改善に貢献してきたが、患者の薬剤費負担が大きい。このため、長谷川氏らは東京大学と東京女子医科大学の協力を得て、2010年8月、1万4989人のRA患者会員を対象として、生物学的製剤の使用状況と医療費、労働条件などについての郵送アンケートを実施した。

 アンケートの結果、9046人から回答を得た(回収率は60.4%)。回答者は平均63.8歳、女性が92.1%。RA罹病期間は平均20.0年だった。

 回答者の34.7%(3142人)が「生物学的製剤を使用している」、62.1%(5616人)が「使用していない」とした(3.2%は無回答)。「使用していない」とした患者のうち484人は過去に使用したことがあった。

 生物学的製剤を使用している患者の平均直接医療費は月3万3281円だったのに対し、非使用の患者では8712円で、実に3.8倍もの開きがあった。

 生物学的製剤を使用している患者(n=3142)に対し、負担感について聞いたところ、「負担は大きく、切り詰めて治療を続けている」が36.1%、「今は問題ないが、今後払い続けられるか不安」が30.4%で、ほぼ3分の2が医療費負担に不安を感じており、その半数は家計をやり繰りして医療費を捻出していた。

 切り詰めている主な生活費は、衣類費81.4%、娯楽費81.0%、美容費60.4%、交際費54.4%で、食費を切り詰めているとする回答も41.1%に上った。

 一方、生物学的製剤非使用者のうち、過去に使ったことがある484人に生物学的製剤の使用を中止した理由を尋ねたところ、副作用が64.7%と群を抜いて多かったものの、「経済的理由で中止」との回答も11.0%あった。

 また、過去にも使用経験のない生物学的製剤非使用者(n=5132)のうち27.7%が、主治医から生物学的製剤の使用を勧められたのに断っているが、そのうち43.1%は薬剤費が高いことを理由に挙げており、非使用者の1割以上が経済的理由で生物学的製剤の使用に踏み切れないでいる現状も明らかになった。

(日経メディカル別冊編集)