東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターの市川奈緒美氏

 痛風も長期的な疾患管理が必要な慢性疾患だが、日常的な自覚症状が乏しいこともあり受診中断率の高さが問題になっている。東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターの市川奈緒美氏らが受診中断者の臨床的背景をまとめたところ、受診中断の3割は初診後1カ月以内に発生しており、1年後の受診継続率は53%に留まっていた。この結果から市川氏は、「初診時から、継続した受診の重要性を患者によく話すことが大切」と訴えた。7月17日から神戸市で開催されている日本リウマチ学会(JCR2011)で発表した。

 今回の検討対象者は、2007年に同センターを初診し、痛風または高尿酸血症と診断され、診療記録により一次性痛風であることが確認できた男性267人。初診日から最終来院日までが1年未満の患者を「来院中止群」、1年以上通院している患者を「治療継続群」と定義し、両群の臨床的特徴を統計学的に比較した。

 対象者の背景因子は、痛風または高尿酸血症の家族歴ありが58人(24%)、発症年齢は平均43歳、初診時の罹病期間は平均6年、初診までの痛風発作回数は平均3回(5回以上が44人、18%)、痛風結節ありが17人(6%)、初診時の血清尿酸値は8mg/dL、アルコール摂取ありが194人(81%)、平均BMIが25 kg/m2などだった。合併症は66人(28%)が高血圧、139人(56%)が脂質異常症、16人(7%)が糖尿病で、39人(19%)に尿路結石発作の既往があった。

 この267人中148人が、初診から1年未満に受診を中断していた。その理由について診療記録で確認したところ、不明が103人(70%)と最も多く、次いで近医での治療が33人(22%)、セカンドオピニオン取得が6人(4%)などとなっていた。

 カプランマイヤー法で治療継続率を求めたところ、約3割の患者が初診後1カ月以内に中断しており、12カ月後の治療継続率は53%に留まっていた。

 患者の背景因子から、受診中断となる要因があるかどうか多変量解析で検討したが、有意なものは尿路結石と初診時の尿酸値だけで、痛風の重症度(発作回数、痛風結節の有無)、脂質異常症や高血圧、肥満など生活習慣病に関連する合併症の有無は、有意な関連を示さなかった。

 この結果から市川氏は「受診中断の3割が、治療方針も定まっていない初診1カ月以内に発生していた。それだけに初診時から、継続した治療の重要性を患者に十分説明して理解してもらうことが大切だ」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)