藤田保健衛生大学七栗サナトリウムの松本美富士氏

 日本のリウマチ医は、線維筋痛症(FM)の診療を意識的に避けている可能性があると指摘する報告があった。日本リウマチ財団登録医を対象に行ったアンケート調査で浮かび上がったもので、藤田保健衛生大学七栗サナトリウムの松本美富士氏が、7月17日から20日まで神戸で開催される日本リウマチ学会(JCR2011)で発表した。

 松本氏はまず、プライマリケア医を対象としたFM認知度調査の結果を提示した。東京都、愛知県、三重県の医師会所属会員の中から、FM患者が受診する可能性の高い診療科目(内科、神経内科、小児科、心療内科、精神科、整形外科、外科、脳神経外科、ペインクリニック)を標榜するプライマリケア医を抽出し、アンケート調査を実施したもの。実施年は2006年と2009年で、対象者数はそれぞれ2977人、3127人だった。

 アンケートは郵送自記式アンケート調査で、疾患概念の認知、病名の認知などを尋ねている。その結果、2006年に「病名を知らない」との回答が28.4%だったのに対し、2009年は9.1%と有意に減少し、FMの認知度は格段に向上したことが明らかになった。

 しかし、認知度は向上したものの、それがFM患者の受療率の増加につながっていない実態も浮かび上がった。

 厚生労働省研究班の2004年調査によると、病院ベースのFM推定受療患者数は年間2700人、リウマチ登録医ベースの推定受療患者数は年間3900人となっている。一方、推定有病率は1.2〜2.2%となっており、日本でのFM有病者数は、約200万人と推定されている。

 松本氏らは、日本リウマチ財団登録医を対象に診療実態調査を行い、FM受療患者数の推計を行った。調査時期は2004年と2010年で、それぞれ対象者数は3912人、3637人だった。

 その結果、リウマチ登録医全体のFM受療推計患者数は2004年に3900人、2010年には1万1000人となり、この6年間で3倍に増えたことが分かった。しかし、FM患者を診療していないリウマチ登録医は2004年に68.3%、2010年には63.0%となり、有意に改善はしたものの、依然として60%もが診ていないという状況に変わりはなかった。また、約200万人と推計されるFM有病者数に対する受療推計患者数をみると、2004年には0.2%、2010年でも0.6%にすぎず、関節リウマチ(有病者数70万人)の場合がそれぞれ41%、55%だったのに比べると、著しく低い水準にあることが分かった。

 松本氏らは、「日本でもFMは一般的なリウマチ性疾患となったが、特定のリウマチ医のみが診療している状況は変わっていない」と結論した。その上で、リウマチ登録医の受療推計患者数が0.6%と依然として低い点を挙げ、「日本のリウマチ医は、FMの診療を意識的に避けている可能性が強く示唆された」などと考察した。

(日経メディカル別冊編集)