新横浜山前クリニックの山前邦臣氏

 高解像度X線写真HRR)を使ったタイトコントロールこそが、リウマチ(RA)患者の寛解維持、関節破壊防止に最も重要である――。7月17日、神戸で始まった日本リウマチ学会(JCR2011)のシンポジウム「リウマチ標榜医のこれから―第一線での問題と解決―」に登壇した新横浜山前クリニック山前邦臣氏は、HRRによる画像診断を柱とした「RA寛解導入戦略2011」を提示した。

 山前氏は、「10年を経過した標榜科リウマチのこれから」の副題を掲げ、専任リウマチ医からの提言を展開した。まず関節破壊の進行度は、これまでの予測とは異なり発症後4年までが「進行が最も早い」ことを指摘し、「早期診断・早期治療」の重要性を訴えた。

 その上で、HRRの有用性を解説。HRRは、乳腺撮影フィルムを使った高解像度X線写真で、より早い段階での骨膜肥厚、骨膜破壊、骨膜下骨萎縮、骨びらんの描出が可能とした。山前氏は具体的に、CRPや血沈、リウマチ因子などの検査値が正常であっても関節破壊が進行した症例を提示し、臨床の第一線でHRRが威力を発揮していることを強調した。また、生物学的製剤を導入あるいは変更する際にも画像診断が重要になるが、その際もHRRの利用が欠かせなくなっているとした。

 HRRによる早期診断を基本とした治療の実際も解説した山前氏は、「RA寛解導入戦略2011」として以下の4点をまとめた。(1)早期診断(発症3カ月以内、HRR利用)し、ブシラミンあるいは金注射およびまたはMTXを使う、(2)(1)で関節破壊を止められない場合、MTXと生物学的製剤を使う、(3)生物学的製剤を変更する時も、臨床症状と関節破壊進行のHRR所見を基準に決定する、(4)間質性肺炎などの合併症でMTX、生物学的製剤を使用できない場合、サラゾスルファピリジンおよびまたはアザチオプリン少量を使う。

 山前氏は、2011年の治療戦略で重視する点として、適時のステロイド関注、難治性大関節の人工関節置換術、肥満対策を挙げた。特に肥満対策は、脂肪組織内マクロファージからのTNF-α放出がリウマチに悪影響を及ぼすため、対策を徹底したいと指摘し、講演を締めくくった。

(日経メディカル別冊編集)