新潟県立リウマチセンターの坂井勇仁氏

 関節リウマチRA)治療におけるインフリキシマブの使用を普及させていく上で、中核となるRA専門センターと地域の医療機関との連携は非常に重要である。4月23日から26日に東京で開催された第53回日本リウマチ学会総会・学術集会のポスターセッションで、新潟県立リウマチセンターの坂井勇仁氏が、新潟県における医療連携の取り組みについて報告を行った。

 坂井氏らの施設では生物学的製剤使用例が年々増加し、本年1月の時点で生物学的製剤導入例はのべ244例、そのうちインフリキシマブ投与例はのべ111例に上っている。しかし、設備やスタッフ数から、インフリキシマブの投与は、病棟では週3日で1日当たり4例、外来では週1日で1日当たり3例に限られている。このペースで生物学的製剤の導入患者数が増加すると、近いうちに病棟での受け入れができなくなると予測された。

 こうした状況への対策として、坂井氏らの施設では、生物学的製剤医療連携チームを結成した。連携チームは医師、外来や病棟の看護師、地域連携センターの看護師、医療ソーシャルワーカーから構成される。

 インフリキシマブ治療における医療連携は2008年7月から開始された。現時点ではクリニックを含む5施設との連携が行われている。インフリキシマブの導入(4回目の投与まで)はリウマチセンターで行い、その後病状の比較的安定したリスクの少ない患者を選択して、連携医療機関に紹介しているという。

 連携する際には、まず医師から地域連携センターの看護師に連絡を入れ、必要事項を記入した初回連絡用紙を連携医療機関にファックスで送付する。患者は連携医療機関を外来受診して検査を受け、検査結果をリウマチセンターにファックスで送付してもらい、治療の可否を判定して連携医療機関に連絡する。連携医療機関での初回投与時には、連携チームのスタッフがその医療機関を直接訪問して、治療の確認を行っているという。

 また、連携医療を受ける患者には、今後の治療予定、緊急連絡先、治療記録の記入用紙、ADL評価票などを含んだ生物学的製剤ファイルを作成し、今後の治療計画について十分に説明するように努めている。また、地域連携パスを作成して、患者のかかりつけ医、リウマチセンター、連携する医療機関が情報を共有できるように配慮した。

 連携を進める上での課題について坂井氏は、特にクリニックとの連携における懸案事項として、治療前の胸部レントゲンの診断、投与を行うための設備や人員の確保、β-D-グルカンやKL-6などの特殊な検査の実施、モニターや輸液ポンプの不備などを挙げた。

 こうした経験を踏まえて坂井氏は、RAの病診連携では、かかりつけ医が専門病院に手術や合併症や副作用、難治例への対応を依頼する一方、専門病院はかかりつけ医にリハビリテーションや薬物療法、在宅ケア、精神的のケアなどを依頼、また、緊急対応時には他科のかかりつけ医や一般病院とも連携できるような体制を築くことが重要だと語った。