倉敷廣済病院の橋詰謙三氏

 関節リウマチRA)患者に対する生物学的製剤の治療成績は良好だが、それでも約半数の患者では疾患活動性が持続する。4月23日から26日まで東京で開催された第53回日本リウマチ学会総会・学術集会のポスターセッションでは、倉敷廣済病院の橋詰謙三氏が、外科的に炎症性滑膜を切除することで、寛解導入が得られた症例の経過を報告した。

 橋詰氏が提示した症例は56歳の女性。1998年にRAを発症、内科にてブシラミンサラゾスルファピリジンD-ペニシラミンミゾリビン金チオリンゴ酸ナトリウム(注射金剤)、メトトレキサートMTX)などのDMARDsによる治療を受けたがコントロールが不良であったため、2004年よりインフリキシマブの投与を開始した。その後、二次無効となったため、2005年よりエタネルセプトの投与を開始したが効果不十分であり、両膝、右肘の疼痛・腫脹が持続したため、同年10月、当施設を紹介受診した。

 初診時の所見は、両膝の疼痛・腫脹が強く、歩行は困難であった。左肘は疼痛・ROM制限によるADL障害が認められた。また、CRPは15.0 mg/dL、ESRは80mm/時、MMP-3は542 ng/mLであり、DAS-ESRは6.48と高疾患活動性であった。

 2006年1月、右人工膝関節置換術TKA)を施行したところ、術直後から対側の左膝痛が消失し、術後24週目のCRPは2.53mg/dL、DAS-ESRは4.16と改善した。また、同年5月には右人工肘関節置換術(TEA)を施行、術後52週目のCRPは1.38mg/dL、DAS-ESRは3.79とさらに改善した。続いて2007年7月に左膝鏡視下滑膜切除術を実施したところ、その5カ月後には寛解に到達した。術後56週目にあたる最終観察時においても寛解を維持しており、CRPは0.56mg/dL、DAS-ESRは1.83、MMP-3は48.9 ng/mLと正常値にまで回復した。

 従来のDMARDs使用下では、滑膜切除術を行っても疾患活動性のコントロールが困難なことや、多関節滑膜切除術により疾患活動性の改善が得られることが報告されてきた。また、生物学的製剤使用例では鏡視下滑膜切除術を行うと、生物学的製剤無効例や効果減弱例に対して有効とする報告もある。

 本症例では、外科的手術前は生物学的製剤が効果不十分であったが、右TKA術後から疾患活動性が低下し、左膝鏡視下滑膜切除術により寛解導入が得られた。橋詰氏は、外科的治療が寛解導入に有効であった理由として、TKA、TEA、滑膜切除術によって炎症性滑膜量が減少し、生物学的製剤の効果が引き出された可能性があるとし、生物学的製剤を使用してもコントロール不良の場合、適応があれば積極的に外科的治療を行うことによって、機能回復だけでなく、疾患活動性の低下が期待できると述べた。