東京医科歯科大学薬害監視学教授の針谷正祥

 生物学的製剤であるアダリムマブの全例市販後調査の中間解析結果が報告され、先行して発売された生物学的製剤であるインフリキシマブエタネルセプトとほぼ同程度の副作用発現率であることが明らかになった。東京医科歯科大学薬害監視学教授の針谷正祥氏が、4月23日から26日に東京で開催された第53回日本リウマチ学会総会・学術集会で発表した。

 アダリムマブは、完全ヒト型抗TNFαモノクローナル抗体製剤で、2008年4月に関節リウマチRA)を対象に国内承認された。承認条件として、他のTNF阻害薬と同様、全例市販後調査が義務付けられている。 

 全例市販後調査は、2008年6月18日の発売から症例登録を開始し、現在も実施されている。今回の中間解析では、症例登録開始から今年2月末までに登録された全国664施設の2491症例を対象に解析を行った。併せて、登録開始から最初の300症例を24週間追跡した結果も報告された。

 解析対象となった2491症例の平均年齢は60.0±12.7歳(15-90歳)で、65歳以上が40.0%を占めていた。平均罹病期間は11.0年±9.5年であった。何らかの合併症を有する患者が約半数の49.4%、既往症のある患者も約3割の31.0%だった。副腎皮質ホルモンの併用は75.1%で行われていた。有害事象の報告数は535件(うち89件が重篤)あり、副作用とされたのは488件(うち63件が重篤)であった。

 一方、追跡調査の対象となった300人の解析からは、他の生物学的製剤の使用経験者が多い(300人中173人、57.7%)ことが示された。このうち、インフリキシマブ使用経験のある患者は61人、エタネルセプト使用経験のある患者は135人、トシリズマブは10人だった。また、この300人のうち175人(58.3%)がメトトレキサート(MTX)を併用していた。

 これら300人における有害事象の発現数は96件(32.0%)、うち重篤有害事象は7件(2.3%)、薬剤との因果関係が否定できない副作用発現数は89件(29.7%)、重篤副作用発現率は1.7%(5人)であった。副作用の発現と、他の生物学的製剤の使用歴、MTXの併用の有無に相関は見られなかった。

 副作用として最も多かったのは、呼吸器感染症(全体48.8%、重篤44%)、次いで皮膚感染症(全体27.3%、重篤19%)であった。肺炎の発症は投与開始後2カ月がピークとなっていたという。また、日和見感染症としてリンパ節結核1件、ニューモシスチス肺炎3件がみられ、うち2人が死亡した。

 これらの結果から針谷氏は、「アダリムマブの副作用発現率や、副作用の種類などは、他の生物学的製剤2剤と同程度と考えられる」と考察した。

 報告では、アダリムマブ投薬開始時のDAS28-4ESRが、追跡期間中にどのように変動したかも示された。解析可能であった221人では、アダリムマブ投与開始時のDAS28-4ESRは平均5.34で、5.1を超えていた患者が53.4%存在していた。追跡期間中、この数字は低下し、24週目には平均3.45となった。

 ただし針谷氏は、今回の中間解析の報告では、アダリムマブの有効性に関してはまだ結論づけることはできないとした。今後の最終解析結果が待たれる。