埼玉医科大学副学長で総合医療センターリウマチ・膠原病内科教授の竹内勤氏

 関節リウマチRA)を対象に国内で行われたアバタセプトのフェーズ2臨床試験の結果が、初めて明らかになった。4月23日から26日に東京で開催された第53回日本リウマチ学会総会・学術集会のシンポジウム「New era for early diagnosis and treatment in RA」で、埼玉医科大学副学長で総合医療センターリウマチ・膠原病内科教授の竹内勤氏が発表した。

 アバタセプトは、ヒトCTLA-4とヒトIgG1-Fc領域融合たんぱく質で、T細胞の活性化を抑える作用メカニズムを持つ。国内ではブリストル・マイヤーズが開発を進め、フェーズ2臨床試験の結果を基に、2008年9月に承認申請済みだ。

 フェーズ2臨床試験の対象は、メトトレキサートMTX)による治療が無効、または効果不十分な活動性のRA患者。被験者をアバタセプト10mg/kgとMTXを併用する10mg群、アバタセプト2mg/kgとMTXを併用する2mg群、偽薬とMTXを併用する偽薬群に割り付け、治療開始から169日時点での有効性を評価した。試験期間中、必要に応じて10mg以下の経口ステロイドNSAIDsの使用が認められた。

 登録された被験者は195人で、10mg群に62人、2mg群に67人、偽薬群に66人が割り付けられた。10mg群61人、2mg群67人、偽薬群66人のそれぞれの患者背景は、以下のとおり。女性比率は49%、57%、52%、平均年齢は53.4歳、52.5歳、53.4歳、平均体重は53.8歳、56.2歳、57.7歳、平均罹病期間は7.4年、8.5年、7.3年だった。

 MTXの平均投与量は、10mg群で7.11mg、2mg群で7.11mg、偽薬群で7.26mg。10mg群の77%、2mg群の81%、偽薬群の85%が経口ステロイドを使用した。平均投与量は、10mg群で5.68mg、2mg群で5.81mg、偽薬群で5.58mgだった。

 169日時点で、ACR20を達成した患者の割合は、10mg群で77.0%、2mg群で62.7%、偽薬群で21.2%。ACR50を達成した患者の割合はそれぞれ45.9%、37.3%、6.1%、ACR70を達成した患者の割合はそれぞれ21.3%、16.4%、0%だった。

 同様に、低い疾患活動性DAS28スコアが3.2以下)を達成した患者の割合は、それぞれ54.1%、41.8%、15.2%。臨床的寛解(DASスコアが2.6未満)を達成した患者の割合は、それぞれ37.7%、25.4%、7.6%だった。

 臨床試験中の死亡はなかったが、有害事象は10mg群の44人、2mg群の49人、偽薬群の41人で認められ、そのうち、5人、2人、6人で重篤な有害事象が認められたが、有害事象の発生率はどの群でも同等だった。すべての群で多かった有害事象は感染症だった。ただし、結核は認められなかった。免疫原性も認められず、アバタセプトの有効性と安全性が示された。

 臨床試験の結果、偽薬群に比べ10mg群で有意に症状が改善する効果は確認されたものの、10mg群と2mg群において、ACR20、ACR50、ACR70、低い疾患活動性、臨床的寛解を達成した患者の割合に有意差は見られなかった。竹内氏は「治療開始早期から効果が現れるという意味で、2mgよりも10mgの方が優れている」と述べたものの、169日時点での効果に有意差が認められなかったことで、審査では投与量が議論の焦点の1つになりそうだ。

 また、竹内氏は今回の臨床試験の結果を、海外で行われた同様の臨床試験の結果と比較した。その結果、10mg群と2mg群で、ACR20、ACR50を達成した患者の割合は、海外の臨床試験よりも日本の臨床試験の方が高かった。一方で、偽薬群でACR20、ACR50を達成した患者の割合は、日本の臨床試験よりも海外の臨床試験の方が高かった。この理由は定かではないが、竹内氏は「MTXの投与量が異なるため、または人種差が原因ではないかと考えられる」と話した。