和歌山県立医科大学免疫制御学講座教授の西本憲弘氏

 トシリズマブを投与した関節リウマチ患者では、遊離インターロイキン6(IL-6)濃度と治療効果が逆相関する。そこで、IL-6濃度が下がり、治療効果が得られる患者を、あらかじめ予測できないだろうか――。4月23日から26日まで東京で開催された第53回日本リウマチ学会総会・学術集会のシンポジウム「リウマチ性疾患に対するトシリズマブ治療」で、和歌山県立医科大学免疫制御学講座教授の西本憲弘氏が、研究結果を明らかにした。

 抗インターロイキン6(IL-6)受容体モノクローナル抗体であるトシリズマブは、IL-6がIL-6受容体に結合するのを阻害する。西本氏はこれまでに、トシリズマブを投与した関節リウマチ患者のうち、血中の遊離IL-6濃度と治療効果に負の相関関係があることを明らかにしていた(こちらの既報を参照)。

 具体的には、トシリズマブ単剤とメトトレキサートMTX)単剤を比較した、国内のSATORI試験(Study of Active Controlled Tocilizumab monotherapy for Rheumatoid Arthritis patients with Inadequate response to MTX)において、トシリズマブ投与群の中で、血中トシリズマブ濃度を維持できた44人のIL-6濃度を解析した。

 その結果、被験者のIL-6濃度は4週間後に最大になり、その後、低下する傾向があった。また、疾患活動性(DAS28)スコアが2.6未満で臨床的寛解を達成した患者の74%でIL-6濃度が35pg/mL未満になっていたほか、ACR70を達成した患者の80%でIL-6濃度が35pg/mL未満になっていた。

 そこで、西本氏はDNAチップを使い、トシリズマブ投与群の末梢血中に発現するmRNAを網羅的に解析した。24週時点で、EULARのGood Responseを達成した患者と、ModerateまたはNon-responseだった患者に分け、Good Responseを達成した患者だけで特異的にmRNAの発現に変化があった分子を絞りこんだ。

 同様に同じ被験者を、ACR70を達成した患者とACR20を達成できなかった患者、また、IL-6が35pg/mL未満に正常化した患者とIL-6が35pg/mLを超過した患者に分け、分子を絞り込んだ。その結果、Good Responseを達成した患者に特異的だった74分子、ACR70を達成した患者に特異的だった83分子、IL-6が35pg/mL未満に正常化した患者に特異的だった67分子を同定。重複を除いた197分子を使って、テストを行った。

 SATORI試験でMTX投与群に振り分けられ、その後の継続試験でトシリズマブを投与された被験者について、同定した分子を利用してトシリズマブ投与開始から24週後の臨床効果とIL-6の正常化を予測した。

 その結果、EULARのGood Responseを予測する感度(陽性率)は31.6%、特異度(陰性率)は97.0%。ACR70を予測する感度は36.4%、特異度は90.2%。IL-6の正常化を予測する感度は81.5%、特異度は87.5%となり、これらの分子を使ってトシリズマブの24週後の効果を予測できる可能性が示された。