産業医科大学医学部第一内科学講座の田中良哉氏

 生物学的製剤が導入されたことによって、関節リウマチRA)の臨床的寛解が実現可能な目標となり、さらには画像的寛解機能的寛解、そしてドラッグフリー寛解を目指す治療へと進化している。4月23日から26日まで東京で開催された第53回日本リウマチ学会総会・学術集会のシンポジウムでは、産業医科大学医学部第一内科学講座の田中良哉氏が、寛解率の向上と、すべての治療薬から離脱したドラッグフリー寛解を目指したRA治療について、国内でのデータをもとに講演した。

 田中氏はまず、治療目標となる寛解を、(1)炎症と症状の改善による「臨床的寛解」、(2)関節破壊抑制による「構造的寛解」、(3)身体機能の維持による「機能的寛解」という3つの側面からとらえることが重要だと指摘した。これらの先には、生物学的製剤やメトトレキサートMTX)を中止した「ドラッグフリー寛解」がある。

 インフリキシマブによって臨床的寛解に至る患者は増加したが、さらなる寛解率の向上を図る上では、インフリキシマブの効果維持が1つの課題となっている。インフリキシマブを3mg/kg、8週間隔で投与すると、次の投与まで効果が持続しないことがある。

 これに関して田中氏は、MTX抵抗性のRA患者を対象にインフリキシマブを3、6、10mg/kgの3用量で投与したRISING試験の結果を紹介した。本試験では、54週後におけるインフリキシマブの血清トラフ濃度が1μg/mL以上であれば、99%の患者がEULAR改善基準のmoderate response以上を、65%の患者がgood responseを達成することが示された。インフリキシマブを増量し、血清トラフ値を1μg/mL以上に維持することができれば、これまで以上の有効性が期待できるという。

 ドラッグフリー寛解を目指した検討も進んでおり、田中氏らの施設では、患者の同意を得てインフリキシマブを休薬した39例のうち、5例がドラッグフリーとなった。

 こうした経験に基づいて進められている多施設共同のRRR試験の中間成績が発表された。本試験は、インフリキシマブにより低疾患活動性(DAS28<3.2)が24週以上維持された症例を対象に、患者の同意後、インフリキシマブを休薬、その後の疾患活動性、関節破壊の進行などを2年間にわたって追跡するものだ。

 今年3月時点で登録された126例(平均罹病期間6年)のうち103例について解析したところ、61%の患者がインフリキシマブの休薬を継続していた。また、52週にわたって経過をフォローした88例中47例(53%)は、インフリキシマブ休薬時の低疾患活動性(DAS28<3.2)を維持し、52週後の平均DAS28は2.13であった。一方、インフリキシマブ休薬後に疾患活動性が上昇した症例では、インフリキシマブが再投与され、インフリキシマブへの反応性は良好であった。

 インフリキシマブ休薬後の疾患活動性を低く維持するには、インフリキシマブ休薬時のDAS28 が影響する可能性があり、休薬後に低疾患活動性が1年間維持する条件を統計的に解析したところ、休薬前のDAS28が2.16以下の場合は、50%の確率で低疾患活動性が維持され、1.20以下を目指すとその確率は75%になるとし、より低いDAS28を目指してコントロールすることが重要であることが示唆された。

 こうした知見に基づいて田中氏は、最終ゴールであるドラッグフリー寛解を目指すためには、DAS28の寛解レベルを超えて、より高いレベルでのタイトコントロールが重要であることを強調した。