富山大学医学部整形外科の松下功氏

 関節リウマチRA)患者の日常生活動作ADL)を維持、改善するうえで、下肢荷重関節の破壊を抑制することは極めて重要な課題である。富山大学医学部整形外科の松下功氏は、4月23日から26日まで東京で開催された第53回日本リウマチ学会総会・学術集会で、抗TNF薬を2年以上投与したRA患者における荷重関節所見の変化について報告した。

 対象は、抗TNF薬が2年以上投与されたRA患者39例(男性5例、女性34例)。平均年齢は59.3歳、平均罹病期間12.9年、評価した関節数は240関節(股関節65、膝関節53、足関節69、距骨下関節53)であった。抗TNF薬は、インフリキシマブが30例に、エタネルセプトが21例(切替例12例を含む)に投与された。

 抗TNF薬投与前、投与1年後と2年後に各関節のX線撮影を施行し、Larsenグレード、新たな骨びらんの発生、骨びらんの大きさの変化(2mm以上)、関節裂隙の変化(2mm以上)、骨破壊修復像の有無を観察した。なお、骨破壊修復の評価には、既報のRauらの評価基準を用いた。また、臨床症状の改善評価として、DAS28-ESREULAR判定基準による有効率を求めた。

 検討の結果、抗TNF薬開始前と2年後のX線所見の比較で、関節破壊の進行が認められた関節数とその比率は、股関節6(9.2%)、膝関節11(20.8%)、足関節10(14.5%)、距骨下関節8(15.1%)であった。一方、関節の修復が認められたのは足関節6(8.7%)、距骨下関節2(3.8%)であった。

 また、1年目のX線所見では、抗TNF薬開始前の股関節と膝関節がLarsenグレード3以上の患者では、これらの関節で破壊が進行したが、Larsenグレード2以下の患者では関節破壊は進行せず、関節は温存された。これに対して足関節と距骨下関節では、開始前のLarsenグレードを問わず、ある程度の関節破壊の進行が認められた一方で、グレード3/4の患者でも関節の修復が認められるなど、股関節や膝関節とは異なる傾向が見られた。なお、2年目のX線所見を用いた検討でも、結果はほぼ同様であった。

 X線所見が変化した足関節の臨床所見を検討したところ、X線所見で修復が認められた関節においては腫脹が消失または軽減していたが、破壊が進行した関節では腫脹が持続していることが多かった。また、足関節の可動域が狭いことは、X線所見での修復に有利に働く可能性が示唆された。

 臨床症状の改善評価との関連では、EULAR判定基準のnon-responderでは、その他の場合に比べて高率に関節破壊の進行が認められた。なかでもLarsenグレード2以下の患者に限定して解析した場合、goodあるいはmoderate responderにおいては、関節破壊はほとんど進行しなかったが、non-responderでは半数以上で関節破壊が進行することが示された。

 以上の検討から松下氏は、荷重関節の破壊進行を抑制するためには、Larsenグレード3に至る前に抗TNF薬など積極的な治療を開始する必要性が示唆されること、さらに、早期からの厳密な疾患活動性コントロールが重要であること、の2点を指摘した。ADLの維持を見据えたRA治療戦略を考える上で、早期からの積極的な治療介入の必要性が示唆されたことは非常に意義深い。